普段の不動産業務では、リアル正直不動産を自負する私ですが、いつも住宅購入のお手伝いをするときに、説明でモヤモヤすることがあります。それは、「住民票の移動」についてです。
なぜモヤモヤするのかというと、そのタイミングがおかしいからです。
普通の引越しなら、住民票の移動は引っ越した後に行いますが、住宅購入における住民票の移動は、引越し前に行うのです。
その説明を行うこと自体が、私のモヤモヤの正体であり、説明を聞いたお客様もモヤモヤする方が多いです。
この記事では、住民票の移動について、詳しく解説していきます。住宅購入をするのであれば、必ず通る道になりますので、住宅購入をお考えの方は、ぜひ最後までご覧ください。
なぜ引越し前に住民票を移動させるのか
本来、引越し後に移動させることが基本的なルールとなっている住民票を、なぜ引き渡し前に移動させるのか。これには2つの理由があります。
理由①:銀行が新住所の住民票を求めてくるから
まず一つ目の理由が、銀行が金銭消費貸借契約にあたり、新住所の住民票や印鑑証明書の提出を求めるからです。
そもそも住宅ローンは、家を買う人だけに設計された特別なローンという性質から、銀行は新住所の住民票を契約時に確認することで、購入する物件に住むことを確認します。
ただ一昔前は、当たり前のように住民票の移動をお願いされていましたが、今は新住所であっても、旧住所(現住所)であっても、どちらでも大丈夫というスタンスの銀行が増えてきました。
理由②:登録免許税の減税に必要だから
もう一つの理由が、居住目的のみが対象となる、移転登記にかかる登録免許税の減税についても、新しい住所での住民票が必要になるからです。
この登録免許税の減税は、金額に換算すると数十万円と、なかなかに高額な金額になります。
住民票の移動は、原則は引越し後
ただ、金融機関や国の減税政策で、新住所の住民票が必要と言われたところで、住民票の移動は、原則引越し後14日以内に行うことがルールです。そして、引越し前に移動させることは基本的に出来ません。
つまり、銀行と国と役所が、言っていることが違うのです。
実務上は、購入者は「引っ越しました」と嘘の申告で、住民票の移動してもらっていることが多いかと思います。
そして役所の人たちも、家を買っているので、このことはまず知っています。何なら私の過去のお客様には、役所勤めの方もたくさんいました。そのせいもあるのか、役所の人も、引っ越したといえば、それ以上詳しく聞いてくることはありません。
実際に住む予定がないのに、住民票を移すのであれば、それは問題ですが、「少しの間なら」と、なんとなくのグレーな暗黙のルールが蔓延っています。
後述しますが、旧住所のままでも例外はありますが、基本的には問題ありません。ただ後々の手間や費用面を考えると、先に移しておいた方が有利なんです。
案内をしなければ後から「教えておいてよ」と言われますし、言ったら言ったで「それって大丈夫なんですか?」となりますし、本当に言う私も、言われるお客様も「モヤモヤ」します。
旧住所(現住所)でも、銀行や登録免許税の減税は使えるか?
旧住所(現住所)のままでも、引き渡しができるのか?という疑問が湧くと思いますが、基本的に出来ます。
銀行については、うるさく言ってくるようでしたら、住民台帳基本法を盾にすれば、基本大丈夫です。最近は言ってくる銀行も、私の場合はあまり経験していないですが、一部銀行ではまだ言われるみたいですね。
また登録免許税の減税についても、司法書士に相談してみましょう。大方の場合は、現在の賃貸借契約書を出して、上申書を書いてもらえれば大丈夫です。
その他にも、住民票が市を跨ぐ場合に、病院やお子様の学校の関係で困ることがある場合など、正当な理由があれば大丈夫です。
ただし、この上申書も司法書士によって言うことが変わりますし、事前に相談をするようにしましょう。
旧住所(現住所)で登記することのデメリット
一応、旧住所でも取引は進められますが、デメリットもあります。
それは、登記簿謄本が旧住所で登記されてしまうので、その後に住所の変更登記をしなければいけないという、手間と費用が発生します。
ただ自分でやってもそこまで難しくないので、司法書士に頼んで数万円かけるよりも、自分でやれば印紙代の数千円(1つの不動産につき1000円、登記する建物や土地の数によって変わる)で済みます。
なので、どうしても住民票を引越し前に新住所に移動させることに、抵抗を感じる方は、旧住所で登記しても問題はないかと思います。
住所変更登記の義務化について
これまで、旧住所で登記をされた方は、売却時に住所変更登記を行うこともありましたが、この場合、何年もの間、登記簿謄本には旧住所が載ったままになります。
それはそれで問題だとは思いますが、これまで住所変更登記をしないことへの罰則はありませんでした。
しかし2026年4月より、法改正があり、住所変更登記が義務化され、変更日から2年以内に変更登記をすることが義務付けられました。
一応罰則もありまして、正当な理由がないのに住所等変更登記の義務を怠ったときは、5万円以下の過料の適用対象となります。
先日ある決済で、司法書士が買主様に「2年経てば法務局が職権で勝手に変更してくれるから、それなら費用はかからないですよ」という案内をされていました。
それを聞いた私は「そうなんだ」と純粋に思いましたが、果たしてこの案内が良いのかどうかは、また別問題です。
基本的に何か問題があってもいけないので、私は「必ず住所変更登記を忘れないでくださいね」とお客様には伝えるようにしています。
昔からモヤモヤする住民票の移動
とにかく、住宅購入者向けの仲介を多くこなしている私にとっては、毎度毎度、このモヤモヤを通らなければいけません。
そもそも、金融機関と役所と国は、それぞれの立場で物事を決めるのではなくて、三者で話し合いをして、ちゃんと取り決めてくれといつも思います。
私もこの業界に、気がつけば16〜7年くらいいますが、昔から変わっていないですね。
途中から、私の愚痴のようになってしまいましたが、この記事の内容を説明するのも、理解するのも大変だなと思いますので、ゆっくり読んで理解してもらえるようにこの記事を書きました。
以前は動画で撮影したものを送っていたのですが、少し内容が古くなってきたので、動画の補足用とバージョンアップです。
まずは、住民票移動のタイミングや、その背景など、しっかり把握した上で、ご自身にあった選択をしていただけたらなと思います。
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