住宅ローン

世の中の常識が正解とは限らない?

2020年4月4日

宮田明典(ハウスクローバー株式会社)

宅地建物取引士、ファイナンシャルプランナー。
ハウスクローバー株式会社の創業者兼CEO。
また同時に業界歴15年以上の現役不動産エージェント。
相談は全国から毎年300組以上、実際の売買もサポートするエキスパート。
多くの人から受ける相談内容と不動産業界の現状にギャップを感じ、住宅購入に必要なサービスと優良な不動産エージェントのネットワークを構築したプラットフォーム「HOUSECLOUVER」を企画運営。 自身が情報を発信しているYoutubeやブログは多くの住宅購入者にとって欠かせないバイブルとなっている。

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オフィスのデスクより、

たまにネット上や書籍上などで、住宅系の情報を見ていたりすると、よく目にするものがあります。それは、「自己資金は2割」という言葉。しかも一つや二つだけでなくて、意外と多く見かけます。

これは世間的には、家を買うときの常識に近いと考えられているかもしれませんが、私はお金とのプロとして、いつも斜めに見てしまいます。実際のところどうなのか、この説は正しいのか。私なりの視点で検証してみたいと思います。

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自己資金2割に賛成な考え方

実際に自己資金が多いと良いなと感じることは以下のようなことです。自己資金2割がいいという主張にも大体以下のようなことが書いてあります。

・月々の支払いが少なくなる

分かりやすいですが、自己資金が多ければそれだけ借りる金額が少なくなるので、その分月々の支払いは安く抑えることが出来ます。ただし、自己資金が多ければ正解にならないこともあります。これは後ほど説明します。

・売却時に残債が問題になることが少ない

住宅ローンは、最初の頃は支払額の内、金利が占める割合が多くなります。そうするといざ途中で売却しようとした時、『売却価格<残債価格』ということが起こり得ます。それを防ぐために、資産価値が下がる分を見込んで自己資金2割ということなのでしょう。これも後ほど説明しますが、完全に物件次第です。

自己資金2割に反対な考え方

逆に自己資金2割というのはどうかと思うのは以下のようなことです。

・自己資金を残しておいた方が、ライフプランにとって良いことも

実はこれ、FPをやっている時によく感じています。自己資金を2割くらいで考えていても、長い時間軸で考えた場合、自己資金を出してしまうとお子さんの教育費がかさむ時期に家計がマイナスになるというのは、よくある話です。

他にもお金をあえて手元に置いておいた方が、不測の事態の時に対応しやすいという理由もあります。会社であってもそうなのですが、いくら決算が黒字であっても、手元の資金がなくなってしまえば倒産です(これを黒字倒産といいます)。

・住宅ローンの金利自体が低い

最近は少し高くなっているとはいえ、歴史的に見れば、今は超低金利時代です。私の親が住宅を購入していたバブル期は変動金利で8%なんて時代もあって、それなら自己資金は多い方が良かったですが、現在は金利によるコストも比較的安いです。

結果どっちがよいのか?

まず自己資金を出してもいいのかという判断が必要になります。自己資金を出してものの、後からお金が足らなくなって高い金利の借金をするのであれば、手元に自己資金があった方が有利な時もあります。

ライフプランニングをすると、将来の収入と支出のバランスが見えるので、収支がマイナスにならない程度の自己資金に抑えておくのことが正しい考え方だと思います。

また、物件の売却価格と住宅ローンの残債額のバランスですが、これは完全に物件によると思います。例えば、物件価格の値下がりが少ない中古住宅を選ぶことで、こういったリスクを減らすことは出来ます

結局のところ、自己資金2割説というのは、あくまで推奨レベルのものであって、どれくらいがいいのかは、人や物件によって異なります。そういうライフプランもたくさん見てきているので、実証済みです。

一般的なキャッチコピーは、覚えやすいものが好まれる傾向にありますが、広く知られている常識が、そのまま正解とは限りません。正解と思われていることの方が実は間違っていたりすることもあります。

然るべきお金の知識と、資産性のある物件選びが、何よりも住宅購入にとっては大切なのではないかなと思います。あなたはどのように感じますか?

宮田明典

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