物件選び

これってサービスルーム?部屋じゃないの?

2020年11月2日

宮田明典(ハウスクローバー株式会社)

宅地建物取引士、ファイナンシャルプランナー。
ハウスクローバー株式会社の創業者兼CEO。
また同時に業界歴15年以上の現役不動産エージェント。
相談は全国から毎年300組以上、実際の売買もサポートするエキスパート。
多くの人から受ける相談内容と不動産業界の現状にギャップを感じ、住宅購入に必要なサービスと優良な不動産エージェントのネットワークを構築したプラットフォーム「HOUSECLOUVER」を企画運営。 自身が情報を発信しているYoutubeやブログは多くの住宅購入者にとって欠かせないバイブルとなっている。

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オフィスのデスクより、

「不動産業界の常識は世間の非常識」

業界では当たり前のことでも、世間からしてみたら非常識なことが多い不動産業界。

非常識とまではいかなくても、プロであれば知っていて当然と思うことでも、一般の方からしてみたら「なんで?」と思うことは思いのほか多いと思います。

そんな「なんで?」とよく受ける質問のひとつに、サービスルームのことがあります。

よくインターネットや雑誌で物件情報を見ていると、間取りに書いてある、3LDK+「S」とか「DEN」といった表記があることに気が付くと思います。

「S」はサービスルームや納戸のことで、「DEN」は書斎のことを指します。

他にも「N」…納戸、「WIN」…ウォークインクローゼット、「SIC」…シューズインクローゼットなどもあります。

よくこういう表記の間取りを見ていて、「3LDK+Sと書いてあるけど、4LDKじゃないの?」と感じることがもしかしたらあるかもしれません。

納戸なら物置のイメージなのですが、間取りを見ていると少し狭いものの、普通の部屋にしか見えないということがあります。

実は、これ採光が関係しています。

居室として扱えない「無窓居室」とは何か?

住宅で「無窓居室」といえば、それは必要な採光基準を確保できていない部屋のことを指します。

そもそも建築基準法では、窓の面積(有効採光面積)を部屋の床面積の1/7以上設けなければいけないとされています。

ですので、窓のない部屋はもちろん、この規定に当てはまらない、窓の小さい部屋については「居室」として表示できないことになっています。

そもそもなんでこの採光基準が設けられているかというと、人は日に当たらないと不健康になるから、というものではなくて(笑)、火災などの防災時に窓から逃げられる広さが必要と考えられているからです。

なぜ窓の大きさを確保できないのか?

これを話すと鋭い方でしたらこうツッコミをいれるかもしれません。

「なぜ窓の開口を大きくしなかったのか?」

じつは窓の開口を大きくできない明確な理由があります。それは「耐震」です。

窓を設ける壁の上下は、基本的には建物の耐震性に関係する「耐力壁」にはなりません。

建物全体の耐震性を考えたときに、間取りによってはどうしても窓を拡げることが出来ない壁面というものが存在し、それが原因で窓を大きく出来なったのが主な原因です。

ですので、決してミスとか、欠陥住宅なんかではありません。

またマンションの場合は、中部屋の場合はそもそも開口自体を取ることが出来ず、サービスルームと表記されていることもあります。

「無窓居室」は部屋として使えないのか?

じゃあ、「無窓居室」は部屋として使えないのかというとそんなことはありません。

たしかに、明らかに納戸として作られた部屋であれば、そもそもコンセントやテレビアンテナが通っていなかったりすることもあります。

しかし、中にはクローゼットも用意され、電源などもあり、他の部屋とそん色のない造りの部屋もあります。

使い方は、基本的には住んでいる方の判断に任せられます。

窓の大きさの関係で、サービスルームと表示されているだけで、普通の部屋じゃんと思える間取りはたくさんあります。

ですから、実際に物件情報などをみていて、部屋っぽいのに「S(サービスルーム)」と表記されている場合は、この建築基準法でこうなっているんだなということを思い出していただき、部屋としてカウントしてしまっても問題ないかと思います。

宮田明典

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ハウスクローバー株式会社の創業者兼CEO。
また同時に業界歴15年以上の現役不動産エージェント。
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多くの人から受ける相談内容と不動産業界の現状にギャップを感じ、住宅購入に必要なサービスと優良な不動産エージェントのネットワークを構築したプラットフォーム「HOUSECLOUVER」を企画運営。 自身が情報を発信しているYoutubeやブログは多くの住宅購入者にとって欠かせないバイブルとなっている。

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