時事・知識・マインド 業者選び

「両手仲介」と不動産業者の本音を住宅購入前に押さえておこう

2020年1月20日

宮田明典(ハウスクローバー株式会社)

宅地建物取引士、ファイナンシャルプランナー。
ハウスクローバー株式会社の創業者兼CEO。
また同時に業界歴15年以上の現役不動産エージェント。
相談は全国から毎年300組以上、実際の売買もサポートするエキスパート。
多くの人から受ける相談内容と不動産業界の現状にギャップを感じ、住宅購入に必要なサービスと優良な不動産エージェントのネットワークを構築したプラットフォーム「HOUSECLOUVER」を企画運営。 自身が情報を発信しているYoutubeやブログは多くの住宅購入者にとって欠かせないバイブルとなっている。

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自宅の書斎より、

私はこの業界も長いので、これといった違和感がなくても、普通の方からしてみたら「?」となるようなことは多いと思っています。

その中で、よくプロからしてみたら当たり前のことでも、一般の方から下見たら良く分からにと言われることの上位に「仲介の仕組」みがあります。

「仲介の仕組み」というと難しく感じるかもしれませんが、実はこれを知っておくことは不動産会社が何を考えて動いているのか、話しているのかが分かるようにもなるため、これから取引を始めようとする人にとっては非常に重要なことです。

とくに事前に知っておくことで、「なぜこの業者はこのようなことを言ってくるのか?」などが分かるようになるため、ぜひ知っておくようにしておくといいと思います。

なお、この記事は動画でもご覧になれます。

⇒ 動画で見る(Youtubeにジャンプします)

両手取引・片手取引の仕組み

一般的な仲介の形は以下のような形になります。

売主から依頼された業者Aと、買主から依頼された業者Bのそれぞれが、売主と買主の間にたち取引をします。

そしてそれぞれ片方(売主、もしくは買主)から仲介手数料をもらう形になるので、片手取引(仲介)と呼ばれています。

それに対して、両手取引(仲介)とは以下のような形になります。

これは一つの不動産会社Aが売主と買主の両方の取引を行います。そして仲介手数料は売主と買主の双方からもらうことができるので、両手取引(仲介)と言われています。

不動産業者としても、一度の取引で売り上げが2倍になる両手取引(仲介)の方が、売り上げが増える(歩合によって給与が増える)ので、片手取引よりは両手取引をしようと考えます。

両手取引は国によっては法律で禁止されている

仕組みだけ聞けば、それだけのことに聞こえるかもしれませんが、国によっては法律で両手取引が禁止されているほどです。

なぜ禁止されているのでしょうか?

それは、以下のような問題を生み出すからです。

  • 売主と買主の利益相反
  • 買主側の業者に紹介をさせず、自社で直接買主を見つけようとする囲い込み
  • 依頼者の利益よりも、とにかく売ろうとする

ということが考えられます。詳しくそれぞれ説明していきます。

売主と買主の利益相反

そもそも売主は少しでも高く売りたいと考えています。一方で買主は少しでも安く買いたいと思います。

不動産の取引では売主と買主の利益は、完全に相反します。

ここに売主側の業者と買主側の業者が双方の代理として、依頼人の利益のために交渉することが健全な取引です。

しかし両手取引の場合は、人間の性質上、必ずどちらかの味方(ひいき)になります。

一般的には、売主からは必ず仲介手数料がもらえるので、売主びいきになることが大半です。

実際に、日本では売主が優先され、買主が軽視される傾向があります。

こういった不利益を消費者が被ることがあるのため、国によっては法律で禁止しているのです。(実際、両手取引が認められているのは先進国の中でも日本くらいと言われています)

買主側の業者に紹介をさせず、自社で直接買主を見つけようとする囲い込み

囲い込みとは売主から物件をあずかった不動産業者が、買主側の仲介業者がお客さんを連れてきてしまうと、もらえる仲介手数料が売主だけからになってしまうので、業者紹介を断り、直接買主を見つけようとする行為です。

これは物件の売却を依頼した売主に対する背任行為です。あってはないらない行為です。買いたい人がいるのに紹介をしないので、売主からしてみたら機会損失です。

しかし、ほんの数年まえまでは不動産業界では日常的な行為でした。しかも率先して行っていたのは、あなたも絶対に聞いたことがあるような大手不動産会社だったのです。

しかしある社員の告発により、メディアによってそういった行為が明るみにでました。

この時以降、大手を中心に囲い込み行為はなくなりましたが、今でも中小零細企業では散見されます。

アメリカなどでは囲い込みが発覚したら、即免許はく奪ですが、日本のあまい規制では、なかなかゼロにはなりません。

この囲い込みも、両手取引(仲介)の弊害と言えます。

依頼者の利益よりも、とくかく売ろうとする

実はこれがかなりの問題で、不動産会社の営業(プロ)は、一般の消費者よりもかなりの情報をもっています。

例えば、その物件が将来の資産価値がないような、どうしようもない物件でも、法令上問題がなければ、売主だけでなく買主からも仲介手数料をもらえるので、買主の利益度外視で、とにかく売ろうと考えます

売ったあと、買主がどうなっても仲介業者としては、取引に問題がなければそれでOKです。むしろ両方から手数料が入ったので、買主が損した分、不動産会社が設けているという縮図になります。

またリフォーム済みの物件や新築戸建ても、売主が不動産会社で、仲介業者からしてみたら必ず両手取引(仲介)になります。

ですから、リフォーム済み物件や新築戸建てばかり勧めてくる業者にも注意が必要です。おそらく、あなたの利益よりも、自社や営業マンの給与のことしか考えていません。

一番最悪なのは、リフォーム済み物件や新築戸建てに、SUUMOやアットホームなどの不動産情報サイトから直接問い合わせることです。

これをやってしまうと、売りたいばかりの業者、もしくは担当者ばかりなので、いくらその物件が将来売りたくても売れなくなるような物件であっても、甘いセールストークで売られてしまいます。

儲かるのは売主や不動産会社で、買主は大損する可能性が非常に高い取引になっていまいます。

※ちなみに、分譲戸建て・中古マンション・中古戸建ては基本的にどの不動産会社からでも同じ物件が購入できる仕組みになっています。詳細はこちらの記事も参考にしてください。

「不動産業界はレインズを通じて一つにつながっている」

住宅購入は客付け専門の業者をみつけるべき

両手取引が法律で禁止されていれば、不動産仲介業者は依頼主の利益優先で動くようになりますが、両手取引が認められている今の日本では、そうはいきません。

何も知らない消費者は、不動産会社からしてみれば、「鴨が葱(ねぎ)を背負って」歩いている状態で、利益をむしり取られるだけです

これは決して言い過ぎではなく真実です。

あなたがそうならないためには、両手取引が成り立ちにくい、純粋な客付け専門の業者を探し、ちゃんとあなたの利益のために動いてくれる担当者を探すしかありません。

純粋な客付け業者であれば、売主に遠慮する必要はないですし、どの物件を仲介しても片手取引(仲介)が前提なので、買ってダメな物件はダメといえます。

この不動産業界の仕組みを知ることは、誰がどのポジションでものを言っているのかということが客観的に分かるようになるのです。

人生で最も金額が大きく、失敗があなたの人生に大きなマイナスをもたらす買い物ですので、知識をしっかり持ったうえで、間違えのない担当者を探すことが何よりも重要です。

宮田明典

P.S

これだけ書くとなんだか脅しているような感じになりますが、間違えのない住宅を購入することは、あなたの暮らしを確実に良くしてくれます。

この記事を参考に、いま一度、住宅購入のプランを練り直してみていただければと思います。

⇒ 全国の不動産エージェント(担当者)が探せるサイト

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ハウスクローバー株式会社の創業者兼CEO。
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