自宅の書斎より、
先週末、契約書や重要事項説明書を作成して、お客様とやり取りした中で、いつもならそこまで深く考えることもありませんが、法令上の制限のことで考える機会がありました。
重要事項の説明の中で、必ず出てくる法令上の制限。実はこの法令上の制限によって街づくりは行われています。
街づくりに関わる法令上の制限
まず街づくりにおいて、一番大きなものは、住宅化を図る地域と、住宅化を抑制する「都市計画区域」と「調整区域」に分けられます。
さらに都市計画区域内では用途地域が定められるようになっていて、その用途地域に定められた建築物しか造ることができないようになっています。
用途地域は、全部で以下の13種類があります。
- 第一種低層住居専用地域
- 第二種低層住居専用地域
- 第一種中高層住居専用地域
- 第二種中高層住居専用地域
- 第一種住居地域
- 第二種住居地域
- 準住居地域
- 田園住居地域
- 近隣商業地域
- 商業地域
- 準工業地域
- 工業地域
- 工業専用地域
例えば、13番の工業専用地域には、住宅は建築できないことになっています。ほかにも1番の第一種低層住居専用地域は、ほぼ住宅しか建築ができず、建物の高さや日照権も厳しく規制されています。
自治体が特別法でさらに制限をかけていく
用途地域は国が定めた法律なので、中身を勝手に変えることはできません。
しかし国が決めた用途地域の内容が、その地域によってはそぐわない時もあります。そんな時に自治体は特別法を施工して、独自の制限を加えていきます。
分かりやすい例を出すと、名古屋ドーム周辺の例が挙げられます。
名古屋ドームやイオンなど、大型の商業施設が充実しているエリアですが、10,000㎡を超える商業施設を建てることができるのは、用途地域のうち、
商業地域と近隣商業地域、準工業地域のみです。
ただご存知だとはおもいますが、名古屋ドーム周辺エリアには住宅も多く、商業地域では日照権がなくなってしまいますし、高さの制限もありません。
高さの上限を考慮しつつ、大型の商業施設を建設できるようにするには準工業地域が最適なのですが、住宅エリアで町工場ができるのも環境としては望ましいものではありません。
そこで名古屋市はこの周辺に、特別法として「第一種特別工業地区」として、準工業地域内において「準住居地域」なみに工場を制限することにしました。
さらに準工業地域だからといって、さらに大型の商業施設が増えていってしまうと周辺の交通状況など大きな影響が出てしまうので、さらに「大規模集客施設制限地区」という特別法を施工して、大型の商業施設を市の許可なく建築することができないようにしています。
街づくりは法律によって行われる
こうやって考えると、こういう街づくりを目指して計画的に法令上の制限を設けっていることが分かってきます。
今回は名古屋ドーム周辺エリアの例を上げましたが、名古屋の他のエリアでも同じように法令によって街づくりが行われている箇所があります。
これからあなたが購入しようとしているエリアが、法律の制限を見ながらどんな街づくりを目指しているのか。
そんなことに思いを巡らすのも、案外楽しいものだと改めて感じました。
宮田明典
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