オフィスのデスクより、
先日、NHKの「クローズアップ現代+」でなかなかショッキングな特集が組まれていました。それは、政府が推し進めている働き方改革によって、住宅ローン破綻をする人が急増しているというもの。
みずほ総合研究所の行った調査では、この働き方改革によって一律に60時間超えの残業時間が規制された場合、一人当たり月7万円、国全体で5.6兆円もの給与が吹き飛んでしまうそうです。
月7万円だと年間で84万円なので、かなり家計にとって痛手となる大幅減です。もともと残業が常態化していた日本のサラリーマンにとって、残業代はある種の固定給だったのかもしれません。
そんなこともあってか、企業によっては副業を容認する動きも出ていますが、お付き合いのある業者(特に大手)なんかからは悲鳴が聞こえてきています。働き方改革の結果が分かってくるのはもう少し先になってからのようですね。
住宅ローン破綻のリアル
この特集でとても気になったのが、40代後半の金融機関に勤めている男性の話です。この方は、毎月70万円あった給与が残業代の削減によって、40万円にまで減ってしまったそうです(!)。
家を買う当時、月にして70万年あったこの人は銀行から、この返済額なら大丈夫と毎月22万円の住宅ローンを組んだそうです。
住宅ローンの支払いが滞り、銀行から届いた督促状の明細書には、住宅ローンの残高7,000万円の他に、年14%の遅延損害金として、420万円も計上されていました。1か月遅れるごとに月80万円が上乗せされる計算だったようです。
それでも、都内に近いマンションなので高く売れるだろうと思っていたそうですが、この方のマンションがあるエリアは再開発で新築がたくさん建っており、中古マンションの相場が押し下げられていたそうです。
結局マンションを売っても、お金を返しきれず、1000万円を親戚から借りて支払ったそうです。
この男性いわく「借りれる額と返せる額は違うということを肝に銘じた方がいい」と振り返っていました。
借りれる額と無理なく支払える額は違う
このことは私も常々いっていることで、銀行がいくら大丈夫といっても、不動産会社が大丈夫といっても、彼らは貸すこと(売ること)が仕事であって、あなたの家を買ったあとのことは、ほとんど考えていません。
甘い言葉に惑わされるのではなく、ご自身の中にしっかりとした基準を持つことが重要だと思っています。その基準となるものがファイナンシャルプランナーが提供しているライフプランニングと呼ばれるサービスです。
私も現在、数多くの顧客のライフプランニングを行っておりますが、やはり先行きが不透明な世の中だからこそ、念入りにシミュレーションをしておくことで、どこまでだったら無理なく返していける予算なのかを見極めることができます。
またライフプランニングの時は、あまり楽観的な観測はいれずに、辛めにシミュレーションしておく方が安心感があります。私も公務員やよほどの大企業でなかったりするときは、給与の上昇も考えずに今のままの給与でシミュレーションすることも多いです。
予算ともうひとつ重要なポイント
そしてこの話にはもう一点ポイントがあって、それは物件の資産価値。
この特集を見ていて思ったのですが、マンションを購入したのは4年前。相場の底から少し時間もたって金額は上がってはいたものの、今よりは安かった時期です。
その時期で8400万円が7000万円でしか売却できなかったということは、おそらく新築のときに購入したマンションなのかなと予想しています。
新築が値上がりするのは、よほどの好立地でないとなかなか難しく、立地が悪かったり、この特集のように新築マンションがたくさん建っているエリアは値崩れもしやすい傾向にあります。
私が提唱している「貯金になる家」というのは、購入した時と売却した時の差が小さい家です。こういう物件を選ぶことは、豊かな暮らしを実現してくれることでもありますが、何よりもこういう時に家は無くなるかもしれないけど、住宅ローンもチャラに出来るということなんです。
貯金になる家について知りたい方は、別記事の「家を買うべきか迷ったら読んでください」もご覧ください。
少なくとも住宅ローンをチャラに出来れば、再出発もできますが、この方のように他から借りたりすることが出来ない場合、任意売却になります。最悪の場合、競売とうことすらあり得ます。
この放送をみていて感じたのは、不透明さが増すこういうご時世だからこそライフプランニングの重要性は増していて、なるべく価格の落ちにくい物件を選んでいくべきということです。
あなたもこのことを他人ごとと読み流すのではなく、この失敗の経験をぜひあなたの家探しに役立てていただけたらいいのではないかなと思います。
宮田明典
P.S
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