ハウスクローバーの宮田です。
この記事は、私が15年以上、不動産業界で営業をしてきた中で、特に印象に残ったお客様のストーリーをご紹介する「CLOVER STORY(クローバー ストーリー)」の連載記事です(お客様の許諾済みです)。
不定期配信になりますが、ぜひ読み物として楽しんでいただければと思います。ストーリーの中にも、住宅売買の参考になるようなエッセンスを散りばめていきます。
前回のストーリーも、ぜひ合わせてご覧ください。
登場人物
M様:千葉県の自宅の所有者(現在ICUに入っている)。私に問い合わせをしてくれた方。
M様の奥様
K様:M様の長兄
T様:M様の長女
S様:T様のご主人
住み替え先の購入で、また事件が…
T様のご自宅のマンションも無事売却が決まり、あとは期限内に住み替え先が見つかればというところで、契約が終わった翌週の土曜日に、見た新築戸建てをT様ご夫妻はとても気に入った様子でした。
私から見ても、本当にいい物件だったと思います。
私には変わった特技がありまして、これまで15年以上、営業をやってきたおかげか、お客様が「この物件買うだろうな」と、直感的に分かります。
なんとなく、お客様が住んでいるイメージが湧くというか、お客様の表情というか、明確な理由を言えるわけではないのですが、とにかく何となく分かるのです。
今回の物件もその直感がありました。
一緒に住む予定の、M様の奥様のこともイメージできましたし、おそらくこの物件にするんじゃないかなと、感じました。
一旦、少しご夫婦でも話がしたいとのことだったので、結論は持って帰られました。
とても気に入っていたはずなのに…
翌日の日曜日、T様のご主人S様から連絡があり、あれから、とある大手不動産会社の新築戸建てで申し込みをしたとのこと(!?)。
正直、予期しない話だったので、これには流石の私もびっくりです。
実は物件の候補を探しているときに、この会社の物件も内覧したいと連絡をいただいたのですが、その会社の物件は、取引ができる会社を、関連会社でガチガチに固めていて、他の仲介業者は入れない物件だったので、そこだけは直接でお願いしますとお伝えしていました。
私と別れた後、T様ご夫妻は、某大手不動産会社に断りを入れようとして、連絡を入れたそうなのですが、、、、
なんとT様ご夫妻は、そこで猛烈な営業に合い、申し込みだけでなく、売買契約までしてしまっていたのです。
時系列が分かりにくくなってしまいますが、これは、とてもいい物件に巡り会えて喜んでいた翌日(!)の話です。
かなり驚きましたし、T様ご夫妻の決断なので、そこはしょうがないですよね。
直感も今回は外れたな、なんて思いながら話を聞いていると、少し様子が変です。
急いで契約したことを後悔している
私個人的には、自分が内覧した物件でなかったとしても、何か異論を言うつもりもありませんし、基本的にはお客様の決断を尊重します。
しかし、どんな物件だったかを聞いていると、駅からの距離も、私が案内した物件よりも離れますし、自宅マンションの引き渡し期日が9月なので、それまでには引っ越す必要があるのですが、なぜか引き渡しは来年の3月。
その間、賃貸に引っ越す必要も出てくるし、なんでそこに決めたのかを聞くと、400万円くらい値引きをしてくれたし、セミオーダーで自分たちの作りたい間取りにできるからという理由でした。
T様ご夫妻の言動に疑問符がつく方もいるかもしれませんが、某大手会社も必死でとにかく値下げして繋ぎ止める営業をしたのでしょう。経験してみないと分からないと思いますが、とにかく押しが強く、気が弱いとすぐに押し込まれます。本当に不動産の闇深さを感じますね。
何となくその理由を聞いた私の気持ちは、モヤモヤしました。
T様ご夫妻も、契約した後で、冷静になって考えて、やはり途中で一回賃貸に引越すと言うのは、なかなか現実的でなく、またセミオーダーといっても、オプションをつけることを考えると、値引きを考慮しても、そこまでトータルで安く済むものでもなく、後悔をしているとはハッキリ言わなかったものの、そんな雰囲気を感じました。
そこで、T様ご夫妻は、もし私で内覧した物件が値下げできるのであれば、契約した物件を解約して、私が内覧した物件で契約したいとのことでした。
手付金を50万円払っているので、それは戻ってこない旨を伝え、それでもとのことだったので、私の案内した物件の売主様に、かなりイレギュラーな対応になりますが、全てのことは話さずに、買付を出して価格交渉をしました。
本当にイレギュラーです。普段こんな交渉は絶対にしません。ただT様夫妻のことも考えると、ダメ元で交渉をすることにしました。
希望通りの交渉をまとめる
私が案内した物件は、駅からも10分にも満たない好立地で、複数棟の分譲でしたが、他は完成前に売れているような現場でした。本当に良い物件だったので、どこまで交渉できるか。
T様ご夫妻が、提示してきた金額は300万円の値下げでした。
そして、翌日月曜日、早速売主様と交渉を行いました。
結果は、、、、なんと!
ほぼ満額の300万円の交渉に成功しました!
交渉結果をT様ご夫妻に伝えると、覚悟を決めたようで、某大手不動産会社の物件は解約しますとのことでした。
T様ご夫妻が、解約の意思を某不動産会社の担当者に伝えたところ、水曜日の19時に事務所に来てくださいとのこと。
私は「某会社のことだから、相当引き留められるので、気をつけてください」と伝えました。
しかしよくよく考えて、ご主人S様の1人で行ってもらうのも心配だなと思いました(T様はお子様が小さいので行けない)。某大手不動産会社が言ってきそうなことも何となく想像ができますし、それにS様が対応できるとは、到底思えなかったのです。
これはS様だからということではなく、大概の人でも困難な状況になると思われます。
そのとき、私は大阪に出張中で、戻るのが木曜日の予定だったのですが、予定を早めて、水曜日の19時に某会社に間に合うように調整しました。
火曜日に、私も行くと伝えたとき、S様はとても安堵した状態でした。
そして、水曜日の19時、私とS様は待ち合わせをして、某会社の事務所に向かいます。
ここから、私と某大手不動産会社との一騎打ちが始まります。
〜続く〜
コメント
この記事へのコメントはありません。