ハウスクローバーの宮田です。
この記事は、私が15年以上、不動産業界で営業をしてきた中で、特に印象に残ったお客様のストーリーをご紹介する「CLOVER STORY(クローバー ストーリー)」の連載記事です(お客様の許諾済みです)。
不定期配信になりますが、ぜひ読み物として楽しんでいただければと思います。ストーリーの中にも、住宅売買の参考になるようなエッセンスを散りばめていきます。
前回のストーリーも、ぜひ合わせてご覧ください。
年明けに、かなり良い話が!
10月から古家付き土地として売りに出した、M様の物件。
12月末に2880万円から2680万円に値下げをして、年明けを迎えます。
この時、良いことと悪いことが同時に起こっていました。
まず良いことですが、土地を売りに出してから、何件かお問い合わせを頂いておりましたが、その中に1件、割と良さそうな問い合わせがありました。
SUUMOなどからの直接の問い合わせではなく、他の不動産会社を通じた問い合わせでした。
そして、私が思っていた通り、1月も下旬に差し掛かりそうな頃、購入申し込みが入りました。
その不動産業者は、ハウスメーカーでもあり、そこで家を建てる方です。
そして、金額はなんと「2,600万円」です。しかも解体費込みの価格です。
前回の記事に詳しく経緯を書いていますが、もともとM様は大手にも売却相談をしていて、査定価格は、1,900〜2,100万円です。
2,600万円という金額は、大手の査定価格の上限から、さらに20%以上も高い金額です。
正直、2,300〜2,400万円くらいで落ち着けたら良いなと思っていたので、解体費込みで、2,600万円という金額は、非常に良い金額です。
M様からしてみても、これは最高の結果と言っても差し支えのないくらいの結果です。
しかし、非常に素晴らしい結果が得られた一方で、もう一つ悪いことが同時に起こっていたのです。
M様と連絡がつかない!?
M様とのやりとりは、電話で行うこともありましたが、基本的にはメールでのやり取りがメインでした。
しかし12月の終わり頃、価格変更をした後くらいから、M様から返事が返ってきませんでした。
その時は、少し弱気になっているのかなと思い、そこまで気にしていませんでした。
そして年明けの問い合わせ状況の報告メールにも、返信がありませんでした。
年末に連絡が来なくなるまでは、比較的メールで連絡を送れば、何らかの返事が返ってきていました。
そんな中、2,600万円という数字の買付が入り、メールを送りますが、返信はありません。携帯を鳴らすものの、なぜかつながりません(直接留守電になります)。
嫌な予感がしました。
自宅に電話できればよかったのですが、M様のメールアドレスと携帯電話しか聞いてませんでした。
このままでは、埒があかないということで、1月下旬に直接自宅へ訪問しました。
悪い予感の的中
自宅につき、チャイムを鳴らします。
少し時間が経ち、誰も出てこないなと思っていた時、奥様が出てきました。
今回の住み替え話は、M様が中心に話を進めていたので、奥様はご自宅に行けば話すくらいだったのですが、ここから奥様との頻繁なやり取りが始まります。
そして、奥様と少し話して、私は悪い予感が的中したことを知ります。
奥様に「外で立ち話もなんですから」と自宅に招き入れていただきました。
ここからは、2,600万円の申込が入った裏で起こっていた、もう一つの悪い話になります。
まずM様は、12月末に風邪を拗らせて、肺炎になり、もともとの持病もあったことから症状が悪化し、年末に入院。現在は意識不明でICUに入っていることのことでした。
実際、M様の状況を聞くと、意識不明で、喉に穴を開けて、そこに管を通して呼吸をしている状態とのことでした。
M様ご親族一同、集合
M様の容体が心配ではあるものの、この現状が、かなりイレギュラーな状況です。
この時点で、業界歴15年以上でしたが、今回のようなケースは初めてのことでした。
売却活動をしていて、売主に何かあったときは、その時点で売却は中止になるわけですが、今の状態は、
- 非常に良い値段で買付を出してくれた買主がいる
- ご主人は意識不明で意思確認が取れない
という状況でした。
奥様も、今回の2,600万円は、非常に驚いていて、本当に良い数字とのご感想です。
安い価格であれば、一旦断ることもできたのですが、良い数字だったので、考えた末に、このような提案をさせていただきました。
「今後のご主人の状況がどうなるかで、取るべき方法は変わるが、一度、親族の皆様を集めていただいて、今後の話をするとともに、奥様も含め、ご親族の皆様のご意向が知りたい。ご親族の皆様をなるべく早く集めていただけませんか」
そして、M様の自宅を後にし、夕方くらいに奥様から電話が入りました。
ご親族が集まる段取りができたので、週末にお越しいただけないでしょうか、とのこと。
この週末の時点で、買主の方から申込書が入って1週間になるタイミングです。
まだ買主業者にこの話は伝えておらず、私のところでボールを預かった状態にしてあります。
まずは親族がどんな意向であるかを確かめないと、今後の話のしようがないということと、いたずらに話して買主の方を不安にさせたくないという考えがありました。
そして週末、約束の時間にM様の自宅にお伺いします。
ここから、M様から始まった住み替えの計画は、親族を巻き込んだ壮大なストーリーに展開していきます。
〜続く〜
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