ここ最近、AIバブルが弾けるのでないかと、色んなところで囁かれるようになりました
実際、ここ最近のアメリカや日本での株価の値上がりは、大半がAI企業となっており、AI関連株が下落した時の、経済に対するインパクトは大きいと考えられます。
またソフトバンクがエヌビディアの株を全て売却したり、2008年に発生したリーマンショックを予見して、空売りで莫大な利益を得た伝説の投資家、マイケル・バーリーが、AI企業の空売りを始めるなど、潮目を感じさせるようなニュースを見かける機会が増えました。
アメリカのサブプライムローン(低所得者向けローン)を扱う金融機関の破綻のニュースもあり、2008年のリーマンショック時の金融危機と状況が似てきた、なんてことも市場では囁かれるようになりました。
私自身、流石にAIへの投資が行き過ぎているなと思いますし、ドットコムバブルのように、一旦過熱して、バブルが弾けて、その後に徐々に浸透していくというようなサイクルを描くのではないかなと、思っています。
2008年の金融危機は、すでに2025年時点で17年前のことですので、おそらく知らない方も多いのではないでしょうか?
私はというと、その時はファンド系の不動産会社に勤めており、金融危機のきっかけになった、米投資銀行のリーマン・ブラザーズや、メリルリンチなどは、取引先でもあり、金融危機の影響をモロに受けた業界のど真ん中にいました。
そんな状況下にいたことと、後から金融危機を不動産屋としてみてきた視点で、今後何が起きるのか、またその際に、私たちの住宅資産はどのような影響を受けるのかについて、解説します。
この記事を読んでいただくことで、今後の住宅売買の戦略の一助になるのではないかと考えております。
リーマンショックは、ものすごい金融危機だった
記憶に残っている方もいらっしゃるかもしれませんが、リーマンショックはそれはもう、ものすごい金融危機でした。
リーマン・ブラザーズの破綻が決まったのが、2008年9月15日(月)でした。日本ではちょうど祝日でした。
そして翌日の火曜日、日経平均は14時50分頃まで値段がつきませんでした。翌日の水曜日も昼過ぎまで値段がつきませんでした。
今よりも株価は安かったため、歴代3位の下落率とされていますが、あの出来事は、それはもう凄まじいの一言でした。
私のいた投資不動産業界も、ものすごい影響が出て、私がいた会社も、上場企業ではありましたが、最終的に倒産しました。
リーマンショックが落ち着いてから
この時に私は、一旦不動産業界を離れることになりますが、2011年に今度は自ら不動産会社を設立することになります。
それからしばらく経って、その当時の不動産データを読み漁ったのですが、そこで意外な事実がわかりました。
それは「住宅不動産はそこまで下がっていなかった」ことです。
実際にこちらが、その当時のデータをグラフにしたものです。

東京では1割ほど下がったものの、大阪と愛知では、ほとんど下がっていません。
東京で1割下がったのにも理由がありまして、リーマンショックの時に、新興不動産企業と呼ばれた新築マンションのディベロッパーが、銀行からお金が借りられなくなったことにより、資金繰りが悪化し、たくさんの会社が倒産しました。
その時期に、新築マンションが資金繰りのため、投げ売られたことから、新築マンションの値段が下がり、それにつられて中古マンションも一時的に値段が下がったからです。
投資不動産は、悲惨な状況でしたが、住宅不動産は、実はほとんど影響を受けていなかったのです。
実際、私もその現状は目の当たりにしていたのですが、ここまでとは思いませんでした。
それこそ、住宅地に限っては、全くと言っていいほど、相場は動いていませんでした。
なぜ住宅不動産は下がらなかったのか?
それでは、なぜこの時、住宅不動産は下がらなかったのか。気になりますよね?
なぜなら、賃貸から多くの人が、住宅購入に人が流れたからです。
不景気になった時、住宅・不動産業界には、補助金が必ずと言っていいほど付けられます。
この時も、住宅ローン減税の拡充や、住宅エコポイントなど、様々な減税・補助金制度が開始されました。
住宅・不動産業界は、その周辺業界への波及も高く、減税や補助金の効果が高いと言われています。
例えば、リフォーム・外構・引越し・家具・家電などですね。
また、不景気になれば金利が下がります。
今、日銀が金利を上げたがっているのは、金利の正常化が目的です。
金利を上げていられれば、不景気になった時に、金利を下げることで、需要を刺激できます。
そして賃貸における賃料です。
賃料は、不動産相場と比較して、遅れて動きます。
大体の賃貸は2年更新になっていて、その間は家賃は動きませんよね?
相場が上がるにつれ賃料も後追いで上がっていきますが、一気に景気が悪くなった時、賃料が下がるのはかなり遅れてになります。
そうするとどうなるか。
「家を買った方が得じゃん!」ってなるんです。
リーマンショックの時に、住宅不動産がほとんど影響を受けなかったのは、このメカニズムからです。
今回、AIバブルが弾けても、住宅不動産は下落しない?
それでは、今回、仮にAIバブルが弾けたと仮定した場合、住宅不動産は下落しないか?
私の考えとしては「No」です。
今回の不動産相場の上昇は、流石に影響は受けるだろうというのが、私の考えです。
しかし、影響を受ける度合いは、物件によって大きく変わってきます。
最も大きな影響を受けると考えられるのは、新築・築浅マンションやタワマンなど、投資マネーがたくさん流れていた物件です。
AI関連株が、株式市場を牽引しているように、現在の不動産相場を牽引しているのは、これらの物件です。
逆に、住宅地の中古マンションや、築年数が経っている中古マンション、中古戸建てなどは、比較的影響は少ないと考えられています。
投資マネーで、相場を押し上げてきたマーケットと、全体相場の上昇の影響は受けたものの、実際に住む人たちの需要で形成されてきたマーケットの違いですね。
短期的な相場云々よりも、長期的な視点をもとう
リーマンショックをど真ん中の業界で経験し、そして長く不動産業界と、相場の推移を見てきた立場で言うならば、「短期的な相場云々よりも、長期的な視点を持って、下がりにくい物件を選びましょう」ということです。
タワマン長者なんて言葉が生まれたくらい、不動産相場は短期で大きく上昇しました。
上がる時もあれば、下がる時もあるのが、自然の摂理です。
ただその中でも、下がりにくい物件はあります。
逆に相場上昇のメッキが剥がれて、大幅な下落に見舞われる物件もあります。
私は、このような経験から、この考え方に辿り着き、お客様にはその視点を叶えるためのコンサルティングを提供してきました。
この辺りは、何が正解かは分かりませんし、担当者によっても差が出るところかもしれません。
担当者を探す時は、このような視点を持ってチェックするようにするのも良いかもしれないなと思います。
あなたの担当者は、短期視点ですか?長期視点ですか?
担当者探しには、全国の優良な担当者の中から、あなたに合った担当者が探せるサイト「HOUSECLOUVER」を、ぜひ活用してみてください。
P.S
ちなみに、私は築浅マンションやタワマンに関しては、取り扱いはほとんどありません。
相場云々というのもありますが、特にタワマンについては、管理に関する問題が大きいと考えているからです。
タワマンも取り扱えば、売上は増えるのでしょうが、管理調査の結果で、買わない方が良いですよって言っちゃうことが多いんですよね。
リスクが高い物件は、やっぱり売りたくないですからね。
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