オフィスのデスクより、
昨年の都政の混乱から就任した小池知事。そして就任早々ぶち上げた豊洲移転問題の是非。
これまで既定路線とされていた移転が一点、宙ぶらりんな状態に。
いまだにどちらに落ち着くかはっきりしない状況ですが、どこに落としどころを見付けたらいいのかも分からない感じに見受けられます。
そもそも問題になったのが移転先となっていた豊洲市場の基準値を超える有害物質です。
もともとは東京ガスが利用していた時なので、地中埋設物や有害物質への土壌汚染対策が必要と考えられる土地です。
身近なところでいえば、ガソリンスタンドや工場など跡地でも、この土壌汚染対策が必要になります。
一般的な売買であれば、売主の方で土壌汚染対策をし、キレイな状態で引き渡すのが通例です。
売主の方で土壌汚染対策をしないにしろ、普通であれば見積もりなどを取寄せその金額分を相場価格から割り引いたりするのが普通です。
しかし今回のケースで問題になったのは、東京都が売主である東京ガスが拠出する土壌汚染対策費として78億円を上限とした拠出をすることを条件に、瑕疵担保責任を免責にした契約書を結び、実際に見積もったら、858億円まで膨らんだということです。
このあたりの構造は何となく、森友学園の問題に似てなくもないですよね。
メディアなどでは東京ガスの瑕疵担保責任を問う声もありますが、そもそも不動産のプロとして言わせてもらうのであれば、これは瑕疵担保責任にはあたりません。
そもそも瑕疵担保責任とは?
そもそものお話ですが、瑕疵とは「目に見えない欠陥」を指す言葉であり、担保責任は「補償する責任」です。
つまり目に見えなかったり、気づいたりしていなかった欠陥に対して初めてこの瑕疵担保責任が適用されます。
なので今回のケースで言えば、東京ガスにしろ東京都にしろ、もともと有害物質が地中にあるのは知ってて話を進めているので、そもそも瑕疵担保責任にあたりません。
このケースで責任を問われるとしたら、こういった契約内容で進めてしまった東京都に責任があるのではないでしょうか。
契約では期間についても定められる
一般的な不動産売買契約でもこの瑕疵担保責任の補償の有無は記載されることになっております。
瑕疵担保責任が無いというケースもありますが、これはケースバイケースになります。
そして瑕疵担保責任には期間が定められます。
さすがに期間が長すぎるとそもそも隠れた欠陥なのか、経年劣化によることなのか判断もつかなくなりますし、売主としても気が気ではないからです。
不動産業者が売主になる場合は2年という法律で定められた最低限の期間がありますが、それ以外であれば法人個人問わず当事者同士の取り決め内容によります。
中古住宅の場合は、売主が個人である場合が多く、瑕疵担保責任期間も1~3ヵ月くらいで決められていることが多いです。
意外と短いなと感じるかもしれません。
個人が売主でも瑕疵担保責任を最長5年にする方法
中古住宅の欠点として、見えない部分への心配があるかと思います。それを解決する方法として、来年から制度化されるのがインスペクション(住宅検査)です。
この住宅検査を経て、条件を満たせば加入できる瑕疵保険というものがあります。
瑕疵保険に加入すると、万が一瑕疵による損害があった時は、この保険から修繕費用などを支払ってもらえることになります。
期間や保証箇所も選ぶことが出来るので、条件はあるものの利用できるのであれば安心材料になると思います。
あなたも、もし中古住宅に対する不安があるのであれば、インスペクションと瑕疵保険は覚えておきましょう。
宮田明典