自宅の書斎より、
8月21日の夕刊フジにこのような記事が掲載されていました。
レインズとは不動産業者間で物件情報を共有するためのシステムで、 「Real Estate Internet System」の頭文字をとっています。
ただこれは一般公開されていなくて、その情報をネタに不動産仲介業者はこれまで商売をしてきました。
レインズと不動産業界の負の関係
不動産仲介会社は売主から物件を預かると、このレインズに登録しなければいけないと宅建業法で決められています。
しかし、買主と売主の両方から手数料を得られる「両手取引」をしたいがために、不動産仲介会社は他の不動産仲介会社への紹介を拒否することがあります。この行為を「囲い込み」と呼びます。
他の不動産仲介会社が連れてきたお客で成約すると、売主からしか手数料がもらえない「片手取引」となり、収入が半減してしまうからです。だから、収入が増えるように物件を囲い込んでしまおうと考えるのです。
理由が顧客のためでなく不動産仲介会社の都合なので、消費者からしてみればいい迷惑です。
実際、私もこれはかなりの頻度で経験してきました。お客様が買いたいと言っているのに不動産仲介会社が拒否するのです。普通の商取引としてありえないのですが、これが不動産業界では通常の出来事でした。しかも、これをやるのは大半財閥系などの大手です。大手だから安心というのは、不動産業界でいえば盲目的な都市伝説ですよ。
しかし報道番組でこの「囲い込み」が取り上げられ問題化し、不動産業界として「囲い込み」を禁止しました。が、今でも物件の囲い込みは明確に禁止された最近でも散見されます。いつ問い合わせても「商談中」。明らかに紹介できませんと言ってくる業者もいまだにあるくらいです。
買いたい方は買える物件が買えなくなりますし、売主の方は売却のチャンスを逃してしまします。
そもそもこんな状況になっているのは、不動産会社でしか物件情報を共有できない仕組みになっているレインズの仕組みこそがおかしいのではないかというのが、この記事の趣旨です。
不動産仲介会社は必要?
レインズの一般公開は不動産業界にとっては「禁じ手」です。だってこれが公開されると自分たちの存在価値が無くなるのですから。またSUUMOやホームズといったポータルサイトも大打撃でしょう。不動産業界に関わる仕事をしている人たちであれば大半は反対の立場です。
しかし私は違います。不動産仲介業者にとっては存在価値そのものに関わる問題ですが、むしろ私としてはきちんとした価値を提供できる業者が残っていくと思うので、むしろ大歓迎です。
実際に不動産先進国と言われるアメリカではレインズにあたるものはすべて一般公開されています。それでも不動産仲介業にあたるエージェントは弁護士などとならび社会的地位の高い職業として認知されています。
なぜ物件がすべて一般公開されているのに、アメリカの人たちはエージェント(不動産仲介会社)を利用するのでしょうか?それは取引自体を安全に進めるためです。物件情報があったところで、不動産は高額な買い物なので自分で行うよ売りもプロに手続きを代行してもらったほうが、手数料を払ってでも安心だと人々が感じているからです。
ですから、レインズが一般公開になれば、価値の提供できない業者は自然といなくなります。というか、むしろこれが本来あるべき姿だと思っております。サービスの競争がないこと自体、このご時世では異常だと思っています。そしてITがどれだけ発達しても、高額な商品ほど人を介在するので、不動産仲介会社は必要だと考えています。
あなたは不動産会社をサービスで評価していますか?
P.S
ちなみにうちの会社では両手取引を禁止しています。そうなりそうな時は売主と買主の担当者を分けます。私の経験上、どっちを必ずひいきしてしまうので。当社のサービスはこちらから。