オフィスのデスクより、
建築時の設計図などの図面関係が無いという物件は中古住宅ではよくあります。
たまに図面が無い物件は買わない方がいいという意見も聞きますが、そんなこともありません。
あるに越したことはありませんが、図面よりも欲しいのは「検査済証」というのが実際のところです。
図面自体は後から作成することが出来ますが、検査済証はそうもいきません。
中古住宅の半分くらいは図面はない?
実際に取引をしている実感として、半分以上は図面が無いのではないでしょうか?
中古マンションは大体管理組が保管していることが多いのであるケースが大半です。
そもそも図面が無くて困るのはリフォームやリノベーションをする時です。
図面がない場合はもう一度寸法を測り直したり、図面を書き起こす手間が発生します。
その分費用が増えたりしますが、費用的には知れています。中には無料で対応してくれる業者もあるくらいです。
しかし「検査済証」はそうはいきません。
検査済証ってなに?
まず検査済証は何かというと、まず建築物を建てる時はこのような物件を建てますよと役所に申請するのが「建築確認申請」。
そして役所がその計画に対してOKをだすのが「建築確認済証」。この建築確認が無いと基本建物は建築できません。
そして実際に建築をして、最後に計画通りの建物が建ったかを完了検査をして発行されるのが「検査済証」。
ただこの完了検査は法律上定められたものではなく、昔の物件で言えば取得率は20%と言われています。
計画通り建てるのは当たり前じゃないの?と思うこともあるかもしれませんが、昔はそうでもなかったのです。
検査済証が無くて困ることは?
検査済証が無くて困るのは耐震関係です。
新耐震基準で建てられた建築物ですよと無条件に認めてもらえるのは、木造なら20年以内、鉄骨やRC造であれば25年以内の建築物です。
平成以降の建物であっても、新耐震基準と無条件では認めてもらえないのです。耐震基準を満たした計画通りに建てられたがどうか分からないからです。
ちなみに住宅ローン減税やその他減税の条件として「一定の新耐震基準を満たすこと」というものがあります。
一定の条件というのが先述の「木造なら20年以内、鉄骨やRC造であれば25年以内」の建築物なのです。
この条件に当てはまらないのであれば、別途「新耐震基準適合証明書」を取得しなければいけません。
この「新耐震基準適合証明書」の取得に欠かせないのが「検査済証」なのです。
検査済証がない場合は、戸建の場合であれば耐震診断と、場合によっては耐震工事をすればまだ大丈夫です。
しかしマンションだと共用部分から耐震診断をしなければいけないのでほぼ不可能に近いです。
前置きが長くなりましたが、検査済証の重要性が分かっていただけましたでしょうか?
あなたも中古住宅を選ぶ際はこういった事情を理解している、実績のある不動産仲介業者を選ぶようにしてくださいね。
宮田明典