自宅の書斎より、
いよいよ、明日10月1日より消費税が上がります。
消費税増税による影響はいたるところに出てくると思いますが、不動産業界においてもその影響は大きいといえます。
政府は以前消費税が8%に上がった時の反省から(極端な駆け込みとその反動減)、消費税増税前と後で影響が出にくいように制度を変えました。
その最たるものが、住宅ローン控除についてです。消費税増税前は最長10年であった住宅ローン控除を最長で13年に延長しました。
実際に増税前と増税後で計算すると、消費税で増税された分が、住宅ローン控除で戻ってきます。
だからと言って注意点がないわけではありません。そこでここでは消費税増税後の住宅ローン控除に関する注意点について説明したいと思います。
消費税がかかるものとかからないもの
不動産取引において、すべてのものに消費税がかかるわけではありません。まずは基本的なこととして、消費税がかかるものとかからないものについて説明します。
消費税がかかるもの | 消費税がかからないもの |
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この表を見ていただくと分かると思いますが、一言で不動産取引といっても、実は消費税がかかるものとかからないものが混在します。
消費税増税対策は課税取引のみ
そこで消費税増税にあたり公表されている対応策は、実は消費税の課税取引に限定されます。
消費税のかからない個人が売主の中古住宅・中古マンションについては、これまでの住宅ローン控除は最大10年間で200万円のままです。
消費税がかかる新築住宅や、不動産会社が売主となっている中古住宅・中古マンションについては、住宅ローン減税の延長の対象となります。
消費税増税前と増税後の住宅ローン減税の比較
居住の用に供した | 適用される消費税率 | 年末時点での住宅ローン残債額限度 | 最初の10年間の住宅ローン減税 | 11年目から13年目までの住宅ローン減税 |
2019年9月30日以前 | 8% | 4,000万円(認定住宅等5,000万円) 非課税の住宅(売主個人)は2,000万円 |
1% | 11年目以降の住宅ローン減税は無 |
2019年10月1日~2020年12月31日* | 10% | 1% | 「住宅ローンの年末残高×1%」か「建物価格×2%÷3」の低い方 |
延長の期限に注意しましょう
冒頭で、消費税増税前と増税後を比較するとそこまでトータルで変わらないという話をしましたが、実はこの期限は来年の年末(2020年12月末)までです。
これを過ぎてしまうと、消費税の増税分がもろに影響します。
またこの期限は住民票で判断します。つまり実際に引っ越した日付(引渡し日)で判断されることになります。
逆算すると少なくとも、11月中には契約を終えておくことが必要になってきます。
消費税が上がっても、住宅ローン控除が延長されるから、時期については消費税増税前に慌てて購入する必要はありませんでしたが、少なくともこのような処置には期限があります。
贈与税の非課税枠の増大にも期限あり
消費税の増税に合わせて、もう一点、大きな減税策が発表されました。
それは「住宅購入資金の贈与税の非課税枠」です。もちろんこの制度の対象も消費税課税物件に限られますが、これまでの非課税枠よりかなり大きくなります。
私の経験から、住宅購入時の贈与を受ける人の割合自体、そこまで高くありませんが、受ける人に対して金額が高額になる方の割合は比較的高い印象があります。
これまでであれば非課税枠内であれば、それに見合ったやり方もありましが、消費税増税後は手っ取り早く節税することができます。
住宅取得資金贈与
家屋の取得日に関する契約日 | 省エネ等住宅 | 一般住宅 | ||
消費税率10% | それ以外 | 消費税率10% | それ以外 | |
2016年1月1日~19年3月31日 | ー | 1,200万円 | ー | 700万円 |
~2020年3月31日 | 3,000万円 | 1,200万円 | 2,500万円 | 700万円 |
~2021年3月31日 | 1,500万円 | 1,000万円 | 1,000万円 | 500万円 |
~2021年12月31日 | 1,200万円 | 800万円 | 700万円 | 300万円 |
この非課税枠についても期限に注意してください。特に金額が大きいのは、来年の3月末までです。
大きな金額の贈与を検討している方は、是非この期限に注意するようにしてください。
慌てる必要はないが、しっかりとしたスケジューリングを
買う予定がないものをあえて買う必要はありませんが、少しでも購入を考えているのであれば、ぜひこれらの制度の期限を気を付けるようにしながら計画を立てましょう。
住宅購入は大きな買い物ですから、事前準備にも時間はかかります。後から、しまったとならないようにしっかり準備しておくようにしておきましょう。
宮田明典
消費税増税の詳細についてはこちらの記事もご参照ください。
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