時事・知識・マインド

消費税増税後の住宅ローン控除に関する注意点

2019年9月30日

宮田明典(ハウスクローバー株式会社)

宅地建物取引士、ファイナンシャルプランナー。
ハウスクローバー株式会社の創業者兼CEO。
また同時に業界歴15年以上の現役不動産エージェント。
相談は全国から毎年300組以上、実際の売買もサポートするエキスパート。
多くの人から受ける相談内容と不動産業界の現状にギャップを感じ、住宅購入に必要なサービスと優良な不動産エージェントのネットワークを構築したプラットフォーム「HOUSECLOUVER」を企画運営。 自身が情報を発信しているYoutubeやブログは多くの住宅購入者にとって欠かせないバイブルとなっている。

▶︎▶︎ このエージェントに相談する ◀︎◀︎

自宅の書斎より、

いよいよ、明日10月1日より消費税が上がります。

消費税増税による影響はいたるところに出てくると思いますが、不動産業界においてもその影響は大きいといえます。

政府は以前消費税が8%に上がった時の反省から(極端な駆け込みとその反動減)、消費税増税前と後で影響が出にくいように制度を変えました。

その最たるものが、住宅ローン控除についてです。消費税増税前は最長10年であった住宅ローン控除を最長で13年に延長しました。

実際に増税前と増税後で計算すると、消費税で増税された分が、住宅ローン控除で戻ってきます。

だからと言って注意点がないわけではありません。そこでここでは消費税増税後の住宅ローン控除に関する注意点について説明したいと思います。

消費税がかかるものとかからないもの

不動産取引において、すべてのものに消費税がかかるわけではありません。まずは基本的なこととして、消費税がかかるものとかからないものについて説明します。

消費税がかかるもの 消費税がかからないもの
  • 新築住宅(建物のみ)
  • 売主が法人の中古住宅(建物のみ)
  • リフォーム代金
  • 建築請負代金(注文住宅)
  • 仲介手数料
  • 司法書士への手数料
  • 銀行への事務手数料
  • 土地
  • 個人が売主の中古住宅
  • 収入印紙
  • 登録免許税
  • 不動産取得税
  • 住宅ローンの保証料
  • 火災保険、地震保険

この表を見ていただくと分かると思いますが、一言で不動産取引といっても、実は消費税がかかるものとかからないものが混在します。

消費税増税対策は課税取引のみ

そこで消費税増税にあたり公表されている対応策は、実は消費税の課税取引に限定されます。

消費税のかからない個人が売主の中古住宅・中古マンションについては、これまでの住宅ローン控除は最大10年間で200万円のままです。

消費税がかかる新築住宅や、不動産会社が売主となっている中古住宅・中古マンションについては、住宅ローン減税の延長の対象となります。

消費税増税前と増税後の住宅ローン減税の比較

居住の用に供した 適用される消費税率 年末時点での住宅ローン残債額限度 最初の10年間の住宅ローン減税 11年目から13年目までの住宅ローン減税
2019年9月30日以前 8% 4,000万円(認定住宅等5,000万円)
非課税の住宅(売主個人)は2,000万円
1% 11年目以降の住宅ローン減税は無
2019年10月1日~2020年12月31日* 10% 1% 「住宅ローンの年末残高×1%」か「建物価格×2%÷3」の低い方

延長の期限に注意しましょう

冒頭で、消費税増税前と増税後を比較するとそこまでトータルで変わらないという話をしましたが、実はこの期限は来年の年末(2020年12月末)までです。

これを過ぎてしまうと、消費税の増税分がもろに影響します。

またこの期限は住民票で判断します。つまり実際に引っ越した日付(引渡し日)で判断されることになります。

逆算すると少なくとも、11月中には契約を終えておくことが必要になってきます。

消費税が上がっても、住宅ローン控除が延長されるから、時期については消費税増税前に慌てて購入する必要はありませんでしたが、少なくともこのような処置には期限があります。

贈与税の非課税枠の増大にも期限あり

消費税の増税に合わせて、もう一点、大きな減税策が発表されました。

それは「住宅購入資金の贈与税の非課税枠」です。もちろんこの制度の対象も消費税課税物件に限られますが、これまでの非課税枠よりかなり大きくなります。

私の経験から、住宅購入時の贈与を受ける人の割合自体、そこまで高くありませんが、受ける人に対して金額が高額になる方の割合は比較的高い印象があります。

これまでであれば非課税枠内であれば、それに見合ったやり方もありましが、消費税増税後は手っ取り早く節税することができます。

住宅取得資金贈与

家屋の取得日に関する契約日 省エネ等住宅 一般住宅
消費税率10% それ以外 消費税率10% それ以外
2016年1月1日~19年3月31日 1,200万円 700万円
~2020年3月31日 3,000万円 1,200万円 2,500万円 700万円
~2021年3月31日 1,500万円 1,000万円 1,000万円 500万円
~2021年12月31日 1,200万円 800万円 700万円 300万円

この非課税枠についても期限に注意してください。特に金額が大きいのは、来年の3月末までです。

大きな金額の贈与を検討している方は、是非この期限に注意するようにしてください。

慌てる必要はないが、しっかりとしたスケジューリングを

買う予定がないものをあえて買う必要はありませんが、少しでも購入を考えているのであれば、ぜひこれらの制度の期限を気を付けるようにしながら計画を立てましょう。

住宅購入は大きな買い物ですから、事前準備にも時間はかかります。後から、しまったとならないようにしっかり準備しておくようにしておきましょう。

宮田明典

消費税増税の詳細についてはこちらの記事もご参照ください。

⇒ 住宅購入は、消費税増税前と後でどちらが有利か?

事前準備にあたって弊社で提供しているサービス一覧はこちら

⇒ スタイルイノベーションのサービス一覧

いいねボタン
[wp_ulike]

この記事が気に入ったら
「いいねボタン」をクリックお願いします!

知りたいことを検索しよう

住宅購入で絶対に失敗したくない方へ

「こんなサービスが欲しかった!」の声が続々!住宅購入で失敗しないためのサービスがひとつに。

  • 無理なく支払っていける予算が分かる
  • 全国の優良な担当者(不動産エージェント)が探せる
  • 物件検索を自動化させて、希望の物件を見逃さない

すべての機能が無料で利用できます

詳細はこちら

※登録情報は不動産エージェントに共有されません

  • この記事を書いた人
  • 最新記事

宮田明典(ハウスクローバー株式会社)

宅地建物取引士、ファイナンシャルプランナー。
ハウスクローバー株式会社の創業者兼CEO。
また同時に業界歴15年以上の現役不動産エージェント。
相談は全国から毎年300組以上、実際の売買もサポートするエキスパート。
多くの人から受ける相談内容と不動産業界の現状にギャップを感じ、住宅購入に必要なサービスと優良な不動産エージェントのネットワークを構築したプラットフォーム「HOUSECLOUVER」を企画運営。 自身が情報を発信しているYoutubeやブログは多くの住宅購入者にとって欠かせないバイブルとなっている。

▶︎▶︎ このエージェントに相談する ◀︎◀︎

HOT

-時事・知識・マインド