オフィスのデスクより、
家を購入してどうなりたいか、という質問に対してあなたはどう答えますか?
購入を考え始めたきっかけとしては、「今住んでいる賃貸が手狭になってきた」とか、「子供が保育園に入る前に」とか色々あると思います。
しかし、どうなりたいかと聞かれるとパッと答えられないかもしれませんが、僕が思うに「今の暮らしをより豊かにしたい」という想いがあるのではないかと思います。
どんな人であれ、今の暮らしより悪くなることを望む人はいないと思います。
日本では家に対してこれまで「豊かになるためのもの」という考え方はあったものの、不動産市場が発達している欧米とは少し違っていました。
欧米では、住宅を購入することは精神面で豊かになるだけではなく、物質面でも豊かになることとして考えられています。
日本では新築で買って、年数が建ったら壊して、また一から作り直すスクラップビルドの文化と言われてきました。
しかし物が溢れ、先行き不透明な現在では、これまでの日本の考え方はそぐわなくなってきました。
これからの時代、住宅購入で暮らしを豊かにしていくためには、欧米諸国の考え方を取り入れていくことに、その実現のヒントがあるのではないでしょうか。
そこで今回は、住宅購入で暮らしを豊かにするためのヒントを探っていきたいと思います。
住宅で資産形成
欧米では日本よりも中古住宅が評価される土壌が出来上がっており、8割が新築と言われた日本に対して、欧米では平均して8割が中古住宅と言われています。
また欧米では状況に応じて家を買い替える文化も根付いており、アメリカなどでは平均的な人で5,6回ほど住み替えるとも言われています。
日本でそんなに住み替えていたら、逆に貧乏にならないかと思いそうですが、ここに考え方の違いがあるように感じます。
欧米では、住宅を購入する時は、必ず売るときの価値も考える「リセールバリュー」の視点を持っています。
また購入した住宅の価値が落ちないように、メンテナンスやリフォームを怠りません。
なるべくお金をかけないように自分たちでメンテナンスをする「DIY」は、欧米諸国では非常に活発に行われています。
その結果、購入した時よりも変わらない程度の金額で売却していきます。
例えば、10年間その家に住んだとして、購入した時とあまり変わらない金額で売却が出来たとしたら、10年間分の住居費が浮いた計算になります。
つまりその浮いた住居費用をほかの支出や貯蓄に回すことで暮らしを豊かにしていっているのです。
たとえ買った時の値段とはいかなくても、差額が小さければ小さいほど、資産に与える影響は良いものになります。
住宅に投資するという考え方
日本の住宅に対する考え方の主流であるスクラップビルドは、どちらかいえば「消費」です。
そして欧米では日本と違い、住宅に「投資」するという考え方が一般的になっています。
この考え方の違いに、暮らしを豊かにするヒントがあります。
欧米では、市場が中古住宅を評価する仕組みと、行政も一体となって街を作って、街そのものの資産価値をあげるといった活動があります。
日本でも、今は中古住宅の流通を拡大させるべく、国や金融機関などが一体となり、木造住宅であれば20年経ったら一律0円の評価になるといった方法が見直され、メンテナンス履歴などを踏まえて建物の評価がされるように変わってきています。
中古住宅に対する見方も一昔前よりも随分変わってきており、いずれ欧米のような考え方が主流になるであろうと考えられています。
住宅に投資するうえで大切な3つの要素
それでは住宅で暮らしをより豊かにしていくためには、どんなことを念頭に物件を探していけばいいのでしょうか?
私は以下の3つが重要であると考えています。
1.街(自治体)
2.立地
3.建物
まずどの街に暮らすかという観点は非常に大事です。
これからはおそらく消滅する自治体も出てきます。
自治体がどうなるかによって公共サービスやインフラに影響が出てきます。
実際に破綻した夕張市を調べてみてください。破綻した都市の悲惨な現状が分かります。
そして消滅した都市の不動産には、まず価値はつきません(買手がつかない)。
消滅可能性都市なども調べることも出来ますので、住みたい街の財政や方向性についても把握することが必要です。
そして立地でいえば、駅から近ければ近いほどいいです。
最後に建物ですが、新耐震基準であるかどうか、省エネ基準はどうかなど、色んな観点から見ていくことが出来ますが、上のふたつに比べれば何とかなりやすい部分です。
これらの3つの要素を考えることで、住宅に投資するという感覚が生まれ、それがあなたの暮らしを豊かにしていくのではないかと考えております。
あなたも住宅を購入するのであれば、暮らしを豊かな家に「投資」するようにしてくださいね。
宮田明典