オフィスのデスクより、
あなたは「手付金(てつけきん)」という言葉を聞いたことがありますか?何となく言葉は聞いたことがあるという方も多いのでないでしょうか。
漢字を見ていればなんとなく分かるような気がしなくもありません。しかし、その意味を詳しく知っているのは不動産取引に慣れた人でしょう。
今回は不動産を購入しようと思ったら必ず関わってくる「手付金」について説明していきます。
手付金は売買代金の一部に充当される
「手付金」とは契約時に払うお金のことです。たまに手付金は売買代金と別で必要になるものと思ってる方も見えますが、実際は手付金は売買代金の一部に充当されます。
厳密に言えば、契約締結時に一旦売主に預けて、売買代金を全額支払う際に返してもらうといのが正しい流れなのですが、それだと手続きなども面倒なので、契約書には「手付金は、残代金支払いの時に売買代金の一部として充当する」と書かれるのが一般的です。
手付金はペナルティーの意味も持つ
契約の時に預ける手付金ですが、これは不動産取引上、ほとんどのケースで「解約手付」とされます。もし契約締結後に契約を解除する場合は、この預けておいた手付金がペナルティーの意味合いになります。
買主が契約の解除をするのであれば、この手付金を放棄して契約を解除することが出来ます。そして売主が契約を解除するのであれば、いったん預けていた手付金を返してもらって、さらに同じだけの金額を買主に払うことになります。つまり、この手付金はどちらかが契約を解除したいときの保証金になります。
手付解除が出来る期限
手付解除が契約締結後いつまでも出来てしまうと、取引の相手としてはいつまで経っても安心できません。その他にも登記手続きに入ったり、住宅ローンの実行手続きに入ってしまった場合に解除されてしまっても困ります。
そうならないために、手付解除できる期限が定められている場合がほとんどです。いつまでも出来るということではないことに注意しましょう。
手付解除の後は違約解除といって違約金が10%もしくは20%と、手付解除よりも高くなることが一般的です。ただし売主が宅建業者の場合はいつの時点であっても手付解除になるなど、売主によって変わります。
手付金を返してもらえる契約解除
手付金の性質がペナルティーの意味合いを含んだものであれば、当事者に責任がない時はどうするのでしょうか?
例えば契約をしたが住宅ローンが承認されなかった。契約をした後に地震が来て、建物が崩壊してしまった。住み替えで、売る方の売買契約が解除になってしまい、買うお金を払えなくなってしまった。
これらのような場合は契約で別途その定めをしておきます。
住宅ローンについては、契約締結後に本審査をする金融機関が多いため、住宅ローンを利用する際には、必ずその定めを入れてもらえるようにお願いしましょう。
ただ普通の不動産仲介業者であれば、特に何か言わなくても入れてくれますが、一応頭の片隅にとどめておきましょう。
手付金の額はどれくらい?
手付金の金額は、その性格からして高すぎても解除することが出来る権利を行使しにくくなりますし、安すぎるといたずらに権利を乱用されかねません。
こういう背景から、ほとんどのケースで5~10%くらいで設定されることが多いです。また売主が宅建業者、つまりプロである場合は2割を超えてもらうことができないように法律で定められています。
さらに1割を超える時は保全措置といって、ちょっと手間な手続きをしなければいけないので、10%以内で設定されることがほとんどです。
手付解除をした時の仲介手数料にも注意が必要
見落としがちな点ですが、手付金を放棄すれば契約自体は解除できますが、そのほかに不動産仲介業者に払う仲介手数料には注意が必要です。
なぜなら、不動産仲介業者は契約が成立した時に仲介手数料を請求できるようになっているからです。
実際に仲介手数料は決済引渡しの時に支払うこともありますが、支払債権は確定しています。
これは不動産仲介業者によって扱いが違ってくるので、契約前には確認しておくことをお勧めします。
何となく売買代金の一部と解釈されている仲介手数料ですが、色んな意味合いを持っているので、あなたもぜひ知っておくようにしてくださいね。
宮田明典
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