オフィスのデスクより、
一昔前は住宅を購入すると、そこが終の住まいになる、という考え方があったように思います。
ただ実際に業務をしていると、「住み替え」という方が割と多いように感じます。
そこで実際のところはどうなのか?データを見ながら考えてみたいと思います。
全体の20%が住み替え
実際に国土交通省が毎年公表している平成28年度の「住宅市場動向調査報告書」によると、
約2割ほどが住みかえということが見て分かります。2割ということは、5人に1人くらいの割合です。こう考えると割と多く感じます。
実際に住みかえの理由として、僕自身が良く経験するものとしては、「老人ホームに入る時の頭金にする」「地方だと車が乗れなくなって不便だから便のいいところに引っ越す」「転勤」などが多い気がします。核家族化も進み、介護を理由とした住み替えも最近では増えてきていると聞きます。
長寿大国の日本では、このままいくと平均寿命が100歳という時代が来るかもしれません。またライフスタイルや価値感の多様化により、今後も住み替えは増加していく可能性が高いと考えています。
住み替えが出来ない家だとどうなるか?
住み替えの出来ない家とはどんな家でしょうか?それは、売ることが出来ない家です。実際に人口減少と家余によって、堅調に値上がりを続ける都心部とは裏腹に、地方では値が落ち続け、値がつかない(売りたくても売れない)不動産がたくさん出てきています。
また都心部であっても良く見かけるのが、新築時の価格と現在の価格差が大きく、売りたくても売れない住宅も出てきています。先日も実際に合ったケースで、場所は悪くないけども、かなり割高感があるケース。実際にセルフインスペクションアプリ「Selfin」で見ても、想定価格よりも1,000万円近く差が出ています。よくよく話を聞いてみると、住宅ローンの残債がまだ多く残っており、それより低い価格で売ることが非常に難しいとのこと。
新築には販売会社の利益や広告宣伝費などが価格に乗ってくる「新築プレミアム」というものが存在します。通常、引き渡しを受けた瞬間に中古となり、そのプレミアム分は無くなってしまいます。「住宅の資産価値<住宅ローンの残債」となってしまっている物件は潜在的にかなり多いのではないかと思います。
もし「住み替える」事情がある時に、住み替えることが出来ない住宅だとしたらどうでしょうか?金銭的に余裕があればまだ何とかなる可能性もありますが、そうでない場合は、住み替えるという選択肢自体を諦めなければいけないかもしれません。
将来の住み替えの可能性を考えておく
今は約2割ほどの「住み替え」ですが、これからはより増えると予想されます。その中で、住宅購入時の時に「住み替える」可能性についても考えておくことが重要になってきます。
「住み替え」のしやすい家とは、流動性と資産性がある物件です。流動性とは、売りたいと思った時にちゃんと売れてくれる物件。そして資産性とは、そのものの価値だけでなく、購入時と売却時の価格差が少ないものも含まれると思います。
言い換えてみれば、家の本当の値段というのは、「購入時の価格ー売却時の価格」なのかもしれないですね。
宮田明典
P.S
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