オフィスのデスクより、
住宅購入の相談を受ける中で、「もう少し自己資金が貯まったら」とおっしゃる方がいます。この言葉には道理性もあって、納得できるような要素もある気がするのですが、実際にそうなのでしょうか?
実際にシミュレーションしていきたいと思います。
自己資金を貯めてからの方が、本当にお得!?
- 住宅購入を検討しているAさん
今すぐ購入する場合:3000万円の住宅を自己資金300円、金利2%、30年の住宅ローンを組む場合。
5年後、自己資金をためて購入する場合:5年間の積立金額5万円/月、その間の住居費用は10万円/月。
この二つのパターンを比べた場合、今すぐ購入したほうが、488万円得という計算になります。なぜこうなるかといえば、貯蓄以上に住宅支出が多いからです。
では、当社に相談される方に割と多いのですが、会社の寮などで、住居費用が著しく安いケースがあります。そのようなケースだとどうなるでしょうか?
- 住宅購入を検討しているBさん
今すぐ購入する場合:3000万円の住宅を自己資金300円、金利2%、30年の住宅ローンを組む場合。
5年後、自己資金をためて購入する場合:5年間の積立金額5万円/月、その間の住居費用は3万円/月。
この二つのパターンを比べた場合、それでも今すぐ購入したほうが68万円安くなります。なぜでしょうか?
Aさんのパターンから考えると、Bさんは住宅支出よりも貯蓄額の方が多いので、貯蓄してから購入したほうが得になるような気がします。
貯蓄して得するかどうかは状況次第
種明かしをすると、これは数字のマジックです。Dさんが5年間で貯蓄できた総額は、300万円になります。この300万円は実をいうと、住宅ローンと自己資金の内訳が変わるだけなのです。
もう少しわかりやすくいうと、今すぐ購入する場合の借り入れが3,000万円ですが、5年後に購入した場合の借り入れは2700万円です。つまり得したのは差額の300万円でなく、その300万円にかかっていた金利が、積み立てたことによって得した金額なのです。
ですので、今のような低金利時代には、金利コストも安いため、よほど今の住宅コストが安くなければ、今すぐ購入したほうがお得ということになります。逆にバブルのような時期であれば、少しでも自己資金をためてから購入したほうがお得ということになります。
つまり今すぐ購入したほうが得かどうかは、その時の状況によって判断する必要が出てくるということです。
購入する時期が影響するもの
購入する時期によって変わってくるのは、まず金利です。今と比べて、将来金利が上がっていれば、その分月々の住宅コストが上がってしまうので、購入できる物件価格は安くなってしまいます。逆に金利が将来下がっていれば、購入できる物件の価格は高くなります。
2つめは完済時の年齢です。借入られるのが、遅くなるということは、その分返し終わるのが遅くなるということです。返し終わる年齢によっては、老後の生活に影響が出てきてしまいます。その分借入期間を短くするのであれば、その分予算が下がります。
3つめは物価や相場です。将来、物価や相場が上がってしまうと、同じような物件を購入しようとすると、予算が増えてしまいます。逆に下がるのであれば、購入できる物件の幅は広がります。
そして4つ目が、健康状態です。購入しようと考えている間に病気になったり、手術をしなければいけない状況になったりすると、住宅ローンに附帯する団体信用生命保険に加入出来なくなる可能性があります。特に糖尿病などの生活習慣病は、本人が考えている以上に、保険にとっては深刻なものもあります。
団体信用生命保険に加入できなくなると、住宅ローンの選択肢そのものが少なくなったり、緩和型と呼ばれる金利が割増になるタイプに加入しなければいけないようになります。
このように購入する時期によって変わることがありますが、こういったどうなるか分からない変動要素をリスクといいます。つまり時期の先送りはこのようなリスクがあることを忘れてはいけません。
その時々で最適な判断を下せるようにしましょう。
宮田明典
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