オフィスのデスクより、
ここ最近、金融庁の締め付けによりブームが終息した感のあるアパート建築。歴史的な低金利により、収益が激減した地銀が地主へのアパート融資に着目し、また相続税の増税とも相まって、一時はバブルの様相を呈していました。
なかには銀行と、アパート建築業者がグルだったなんて話も聞きます。そして需要があまり見込めない土地にアパートを作り過ぎた結果、空き室だらけになり、一定期間無料で貸し出す物件まであるそうです。
そんな状況を問題視した金融庁は地銀に対して、アパート融資の締め付けを通告しました。その結果、アパートバブルは収束しました。
思いのほか深刻な状況
収束はしたものの、実はかなり深刻な状況だったりします。アパートが乱立したのは、都心部ではなく、地方の田舎です。田んぼの中にポツンと建っているアパートをあなたも見かけたことがあるかもしれません。
たまに僕も見かけますが、誰がこんなところに入るんだろう?と思ったりします。実際に良く見てみると、空きも多い様子。そして空室が増えるということは、家賃が下がるということです。そして家賃が下がるということは、そのエリアの資産価値も落ちるということなんです。
家賃が下がると資産価値が落ちる?
その理由をこれから説明していきます。まずそのエリアで住宅を購入しようとしたら2,000万円かかるとします。その物件を住宅ローンで借り入れて35年、1.5%の金利で購入したとします。
そうすると月々の支払いはおよそ61,000円。これに固定資産税や修繕費用がかかります。対するアパートの家賃。同じような間取りで、家賃が47,000円。
あなたならどっちを選びますか?多くの場合、「それなら買う意味があまりないよね」というようになってしまう可能性が高いです。
そうするとどうなるか。売ろうと思ったら、賃貸より魅力的でなければ売れません。そして、賃貸の家賃よりお得になる価格は、借り入れ条件が変わらないとすると、1500万円より安い価格にしないといけないのです。
これが地方の不動産の資産価値が下がる原因です。早い話が完全な供給過剰状態ですね。
売れない・貸せないのダブルパンチ
もちろん売るのではなく、貸すとなった場合も周辺の賃料に影響を受けるので、必然的に賃料も安くなります。そもそも借り手がつくかどうかも分かりません。
いずれ遠くない将来、このような状況は予想されていましたが、ここ最近のアパート建築バブルによって、より進行が早くなるというなんとも皮肉な結果です。
その他にも賃料が下がることで、物価も下がり、政府や日銀が目指しているインフレ率の達成もまた遠のいたという、これも皮肉な結果になってしまいました。
あなたも、住宅を購入する時は、将来の資産性にも気を付けたいですね。
宮田明典
P.S
当社が無料で提供しているWebアプリ「Selfin」では、マンションの場合、周辺の賃料から価格を割り出す収益還元法を採用しています。これによって相場の動きでなく、賃料と比べることが出来るので、このような将来資産価値のなくなりそうな不動産を購入することを避けることが出来ます。
是非あなたの家探しのおともに「Selfin」をご活用ください。