時事・知識・マインド

知っていると得する!年代別のマンションの特徴

2019年1月26日

宮田明典(ハウスクローバー株式会社)

宅地建物取引士、ファイナンシャルプランナー。
ハウスクローバー株式会社の創業者兼CEO。
また同時に業界歴15年以上の現役不動産エージェント。
相談は全国から毎年300組以上、実際の売買もサポートするエキスパート。
多くの人から受ける相談内容と不動産業界の現状にギャップを感じ、住宅購入に必要なサービスと優良な不動産エージェントのネットワークを構築したプラットフォーム「HOUSECLOUVER」を企画運営。 自身が情報を発信しているYoutubeやブログは多くの住宅購入者にとって欠かせないバイブルとなっている。

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自宅の書斎より、

中古マンションを仕事柄、たくさん見ることが多いですが、たくさんのマンションを見ていると、年代や時代によってマンションにも歴史というか、特徴があることに気が付きます。

マンションが建った時代にはその時々の経済状況や日本の価値観などがあって、その年代ごとのマンションの特徴を見ていくと、色んな気づきが得られます。

また時代ごとの特徴を知っておくことで、マンションの質についても理解が深まるので、年代別のマンションの特徴を知っておくことは、中古マンションを探すうえで、有利に働くこともあるのではないでしょうか。

この記事では、そんな年代別のマンションの特徴についてお話していきたいと思います。

この記事は動画でもご覧になれます。

https://www.youtube.com/watch?v=N6CcSk0tWeM

1975~1982年:マンション大量供給時代

この時期は、非常に多くのマンションが市場に供給された時期です。

建築基準法が改正される前で、旧耐震の時代です。

コンクリートが120㎜のものがメインでかなり薄く、音も今のように気密性があるわけではありませんでした。

また給排水管はさびの出やすい銅製のものが利用されていました。

部屋の広さもそこまで重視されておらず、エレベーターもない物件が多くあります。価格はかなり安く、名古屋市でも数百万円で売りに出ていることが多いです。

1983~1987年:商品企画競争時代

このマンションは耐震基準が変わり、供給されるマンションの質も上がり始めた時期です。

旧排水管には塩ビの配管が利用されるようになり、耐久性が向上しました。

またコンクリートの厚みも150mmのものが出てきた時代です。

1988~1991年:マンションバブル時代

この時代は、日本はバブル絶頂期です。

マンションも贅を尽くした豪華絢爛なものを売り出され、この時代には今でもヴィンテージマンションと呼ばれる物件が輩出された時期です。

一般的なファミリータイプは価格が高騰したため、都心から離れた郊外に多く建てられました。

1992~1994年:バブル崩壊・マンション暗黒時代

バブルがはじけ、一気に不景気に。マンションは全く売れない時代になりました。

売れないので、とにかく安くしようとした反動で、バブルのころの物件と比べると狭くなりました。

ただそもそも販売不振が深刻な時代だったので、供給量自体が激減しました。

このころのマンションは、探してみると意外と少ないことに気が付くのではないでしょうか。

1995~2000年:マンションブーム&進化時代

このころになると、再度マンションが到来します。

またマンションの性能も進化を遂げます。

コンクリートは150mmが主流だったところから、180mmの厚みがある物件も出てくるようになりました。

また給排水管は錆びや腐食などのトラブルが少ないタイプに変更され、耐久性も向上しました。

このころからオートロックや宅配ボックスなど、今でも欠かせない設備が登場し、天井も高い物件が増えてきました。

古い物件って天井が低い物件が多いのですが、ちょうどこの時期が端境期になります。

2001~2006年:基本性能底上げ時代

2000年できた「住宅品質確保法」によって、基本性能が底上げされます。

住宅品質確保法では、マンションの場合、エコ性が向上し、二重床や二重天井が一般的になりました。

またコンクリートは180mmが普及していきました。

そしてリビングが広めのゆったりとした間取りが増え、食器洗浄乾燥機が備え付けられ始めたのもこの時代です。

この時代のマンションは比較的品質もよく、築年数もほどよく経っていることから、価格もだいぶ落ち着いていて、ねらい目とされる時代の一つです。

2007~2008年:ミニバブル時代・価格上昇時代

リーマンショック前の、ミニバブルと言われた時代。

地価が上昇し、建築費も上昇しました。そして価格を抑えるために部屋を狭くしたり、仕様を落とすなどして、価格が高くならないように調整されていました。

2009~2013年:マンション黄金時代

リーマンショック後の日本景気が低迷する時代です。

株価は下がり、土地の価格や建築費も安くなった時代です。

また歴史的な円高の時代でもありました。

円高は輸出産業にとってみたらマイナスですが、内需産業には輸入が安くなるのでプラスに働きました。

土地が安く建築費も安い、そして材料費も安いとあって、良質なマンションがたくさん建てられた時代です。

さらに2011年に発生した東日本大震災をきっかけにして、災害意識が高まり、制振・免震構造のマンションも多く建てられました。

この時代のマンションが今の中古マンションの相場を引っ張ってっている存在です。

まだ価格は落ち切っていない年代ですが、品質が非常に高いためお勧めの時代でもあります。

2014年~現在:価格上昇時代

安倍政権に変わってから、一気に円安に進み、オリンピックが決まったことから、地価が一気に上昇しました。

また東日本大震災の復興やオリンピックの準備、旺盛な再開発需要によって、建築業界の人手不足が深刻になり、建築コストも再び上昇しました。

かつてのミニバブルよりも価格は高騰し、一般人には手の届きにくい価格帯になってきています。

マンションディベロッパーは、部屋を狭くしたり、仕様を落とすなどして調整していますが、それでも賄いきれないほどです。

そのせいか、最近の新築は何となく安っぽい感じがしなくもありません。

単純に築何年で評価すればいいものではない

よく築何年くらいがいいという話を聞きますが、築何年というよりも、建てられた年代や時代の背景によって、マンションの質そのものが大きく変わることが分かっていただけたと思います。

本の築年数でいうと、2~3年くらいしか変わらなくても、年代でいうと結構変わってくることもあります。

また「マンションも築何年くらいもつ」というのも、建築された年代によって左右されることもあります。

あなたも中古マンションを探すとき、これまでに説明してきたどの年代のものか、少し考えてみるといい買い物が出来るかもしれないですね。

宮田明典

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