時事・知識・マインド

高層マンション火災から思うこと

2017年6月20日

宮田明典(ハウスクローバー株式会社)

宅地建物取引士、ファイナンシャルプランナー。
ハウスクローバー株式会社の創業者兼CEO。
また同時に業界歴15年以上の現役不動産エージェント。
相談は全国から毎年300組以上、実際の売買もサポートするエキスパート。
多くの人から受ける相談内容と不動産業界の現状にギャップを感じ、住宅購入に必要なサービスと優良な不動産エージェントのネットワークを構築したプラットフォーム「HOUSECLOUVER」を企画運営。 自身が情報を発信しているYoutubeやブログは多くの住宅購入者にとって欠かせないバイブルとなっている。

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オフィスのデスクより、

6月14日、ロンドンのグレンフェル・タワーという24階建ての高層マンションで大火災が起きました。

あの衝撃的な映像を見た方も多いかもしれません。マンション全体が燃え盛る映像は僕も見ましたが、とても衝撃を受けました。

タワーマンションは災害に弱いと言われますが、それが露呈された事件だったように思います。

放水車も届かない高さでの大火災。考えるだけでも身が凍ります。

今日は、なぜあのようなことになったのか原因や、日本とは違うロンドンの住宅事情について考えてみたいと思います。

今回の火災は人災である

まず不動産や建築のプロから見て、ここまで燃えること自体「ありえない」ということでした。

日本であれば、高層マンションの場合、スプリンクラーや屋上のヘリの着陸場に非常用エレベーターといった、非常に厳しい防火対策・設備が必要になるからです。

ただロンドンのニュースを見ていると、住人からの要請があったにも関わらず、スプリンクラーは取りつけられていませんでした。

また直近の改修工事で使用した断熱材が燃えやすい素材だったと見られています。

もしそうであれば、これは人災として見るべきなのではないのでしょうか。

日本と違う住宅事情

今回の住宅は、国が運営する公営住宅でした。

日本では人気があり、高級なイメージのある高層マンションやタワーマンションですが、イギリスをはじめとするヨーロッパでは、田舎の一戸建ほど高級と見られています。

つまり日本とは逆の価値観が存在しているということになります。

そんな背景が原因かは分かりませんが、スプリンクラー設置の声が認められなかったり、ずさんな改修工事となっていたことから国民感情の怒りが国へ向かっています。

日本の高層マンションの火災は?

日本では31m以上(およそ11階)のマンションを高層マンションとしています。

そんな高層マンションでの火災も実際に起こっています。

平成1年におこった東京江東区の28階建ての高層マンションで起こった火災や、平成8年の広島市中区の20階建ての高層マンションで起こった火災は、はしご車の水が届かず消火活動が難航したそうです。

こうような出来事を経て日本の高層マンションの外壁に燃えにくい素材を使用することなど、防火対策が一層強化されるようになりました。

ただし古い高層マンションについては費用もかかることから防火対策が十分にされていないものも存在します。

普段から災害に対する意識を持っておく

今回のロンドンのようなケースは稀だとしても、高層マンションはもともと災害に弱いということを知っておく必要があるのかもしれません。

その上で、普段から防炎カーテンを使ったり、避難経路にもなるベランダにあまりものを置かないといった事に気を付けておくことが有事の際の分かれ道になります。

その他日、消防設備の場所や使い方、火災報知器を確認したり、積極的に避難訓練に参加することも重要なのではないでしょうか。

こういった災害が起こりたくさんの被害者が出てしまったことは、とても悲しいことですが、遠い国の事故だと考えずに、今一度災害に対する意識をもつ教訓にしたいものですね。

宮田明典

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