時事・知識・マインド

戸建てにも修繕積立金が今後のトレンド

2019年1月7日

宮田明典(ハウスクローバー株式会社)

宅地建物取引士、ファイナンシャルプランナー。
ハウスクローバー株式会社の創業者兼CEO。
また同時に業界歴15年以上の現役不動産エージェント。
相談は全国から毎年300組以上、実際の売買もサポートするエキスパート。
多くの人から受ける相談内容と不動産業界の現状にギャップを感じ、住宅購入に必要なサービスと優良な不動産エージェントのネットワークを構築したプラットフォーム「HOUSECLOUVER」を企画運営。 自身が情報を発信しているYoutubeやブログは多くの住宅購入者にとって欠かせないバイブルとなっている。

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オフィスのデスクより、

よく「戸建派」の方の意見を聞いていると、「ランニングコストが安い」ということを理由のひとつにあげられる方が多いです。通常、マンションであれば、管理費や修繕積立金、駐車場代などが住宅ローンとは別にかかります。

確かに戸建であれば、これらの費用はかかりません(駐車場代はケースバイケースです)。しかし、見た目はかからないだけで、まったく「かけなくていい」ということではありません。

戸建の評価の方法が変わりつつある

何となく中古戸建を見ていると、買ったことで安心してしまい、その後の修繕がおろそかになってしまっている物件によく出会う気がします。

一昔前であれば、木造一戸建ては20年~30年を目途に壊して建直すという考え方があったようにも感じます。しかしそれでは、まったく資産形成がされず、生活の質にも影響を及ぼすと考えられるようになりました。

今では中古住宅の流通促進の観点から、一律に築年数で評価するのではなく、メンテナンス歴・修繕歴なども加味して評価される方向に向かっています。このようにメンテナンスや修繕は、資産価値に直結するようになってきているのが、これからのトレンドです。

放っておくと余分な費用も

戸建をインスペクションした時のことです。その物件はたしか築18年くらいで外壁の修繕歴はありませんでした。外壁を塗っていれば良かったのですが、放置していた間に外壁にクラックが入っていました。

そこから雨水が侵入し、さらに余分に修繕費用が発生することが分かりました。もちろん、その分も合わせて値段交渉しましたが、ちゃんとメンテナンスをしていれば何もなかったのに、勿体無いなと感じました。

戸建にも修繕積立金の概念を

新築住宅であっても、10年も経てば様々な箇所において修繕が必要になってきます。外壁や屋根だけでなく、バルコニーの防水やシロアリの防虫工事、給湯器などの設備交換など、10~15年ごとに発生します。

しかもその金額も100万円単位で発生するため、マンションのように計画的な積み立てをしておいた方がよいと考えられます。

いくらくらい積み立てればよいか?

一般的な目安として、戸建をしっかり管理していくのであれば、築後30年でおよそ800万円(100㎡あたり)ほど必要になると言われています。これを月額になおすと、約22,200円と、マンションと同等程度の費用がかかると言われています。

毎月貯金を出来る方であれば、この金額を目安に貯めていけばいいと思います。貯金が苦手な方(私もです)は、なるべく定期積金や保険などをうまく利用して、強制的にでも積み立てていくようにした方が良いです。

リフォームローンを使われる方もいますが、リフォームローンは短期間しか借りられないので、収支バランスに注意が必要になります。

よく戸建購入時に、支払額を抑えたいからと修繕費用を先延ばしにする方もいますが、数年後になってリフォームをしてローンを借りるのであれば、住宅ローンにリフォーム費用も組み込めるので、必要があれば住宅購入時に一緒にやってしまったほうがいいこともあります。

ただ、マンションと同じく戸建においても、適正なメンテナンスや修繕は間違いなく資産価値を向上させる効果があるので、是非積極的にこの考え方を取り入れていきたいですね。

特に戸建の場合はマンションと違ってDIYという手法もあります。DIYであれば費用も安く収まりますし、アメリカなどではかなりメジャーなやり方です。

自ら手を入れることで、価格も安く収まりますし、何よりも愛着もより一層わきます。そんな戸建ならではの暮らしをあえて楽しんでみてはいかがでしょうか?

宮田明典

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