オフィスのデスクより、
昨今の日本の中古住宅流通市場は年々拡大しており、東京都では新築の流通量を超えています。ここ名古屋市でも、いずれ同じような道を辿りそうです。
そういった背景もあってか、好立地の中古住宅を購入してリノベーションをする人たちが増えてきています。
一昔前を考えると、新築一辺倒だったことを思えば、随分時代も変わったものだとしみじみ感じます。
もともと日本は戦後からアメリカの影響を良くも悪くも大きく受けています。そして住宅市場においても、アメリカの影響を色濃く受けようとしています。
一昔前の新築一辺倒の頃は戦後で住宅の数自体が足りておらず、国が大号令をかけて新築を建てていました。
そしてバブルが崩壊し、世界で一番の長寿国になり、人口も減り始めました。
ここまで来てようやく国も新築一辺倒の政策から少しづつ中古住宅流通へ舵を切りだしました。
そして、日本が目指すべき中古住宅流通市場のお手本としているのがアメリカです。実際不動産関係者や政府関係者は結構頻繁にアメリカの不動産市場を視察しに行っています。
しかし、真似はすれども日本はある意味ガラパゴスな国なので、アメリカとは状況が違います。
そこで、今回は日本とアメリカのリノベーション事情の違いについて比べてみました。
アメリカでは売主がリノベーションする
冒頭にもありましたが、日本では買主がリフォームやリノベーションをすることが多いですが、アメリカでは逆で売主の方がリフォーム・リノベーションをします。
アメリカでは日本のような中古住宅探しからリノベーションまでというワンストップサービスのような業態はかなり珍しい部類に入ります。
なぜアメリカでは売主がリノベーションをするのでしょうか?それは、高く売れるからです。
一般的なアメリカ人は、平均して7年に1回、家を買い替えると言われています。住宅を資産として捉え、投資と考えているアメリカ人は、家の住み替えを繰り返しながら人生を栄転させていきます。
だから将来売却することを見越して、経年劣化から家を守るために、あるいは普段から見た目が良くなるようにあれこれとリフォームやDIYをしたりします。この辺はアメリカらしい合理的な行動心理ですね。
余談ですが、アメリカでは物件を売却する時に「ステージング」という、部屋の印象が良くなるようなコーディネート術を活用します。最近日本でも普及し始めてきており、僕も実は資格者です。
日本は自分らしさの表現
対して日本はどうでしょうか。不動産会社が販売するリノベーション物件は、販売価値が高くなるよう効果対費用の高いリノベーションが施されますが、最近はやりのワンストップサービスは、どちらかといえば自己表現に近いかもしれません。
自己表現に近いリノベーションは、あまり市場では評価されず資産価値には反映されません。
自分にとって100%のものは、人にとっても当然に100%になるわけではありません。
市場で評価されやすいリノベーショのは、誰にとっても70%くらいのものと言われています。
リノベーション業者も買うときの安さ(中古マンションとリノベーションを費用を合わせても新築よりも安いなど)をアピールして、のちの資産価値に関しては一切触れません。
リノベーション業者が売っているのは、あくまであなたの理想的な暮らしを実現させてくれる「空間」であって、資産価値の向上を目指しているわけではありません。
そもそもリノベーションに対して期待しているものが、アメリカとは全く違っているのです。
リノベーションは感情と理性のバランス
ここ最近は、売るときの資産価値を考えてというリセールバリューを気にする方が少しずつ増えてきていますが、それでもまだまだ少数派のように感じます。
アメリカとはお国柄も違えば国民性も違います。リノベーションひとつとってもこれだけ違いが出るのはある意味当然かもしれません。
住宅を投資と考えるか、消費と考えるか、その中間をとるのか、考え方は色々です。
要は将来の資産価値を考えて投資ととらえて理性的な判断をするのか、自己実現や満足を考えて感情的な判断をするのか、そのバランスです。
もちろん最後に決めるのはあなたで、どうバランスを取るかを考えていく必要があります。
しかし、どう考えて同実行してきたかは、かならず時間が経ってからあなたに返ってきます。
さて、あなたはどのタイプですか?
宮田明典