オフィスのデスクより、
ちょうど1年前のこれぐらいの時期だったでしょうか。いわゆる中古マンションを購入して、リノベーションされた住宅の仲介に関わることがありました。
私は客付け業者として、お客様を紹介していました。私が案内したお客様は使いにくそうと、具体的に検討することはありませんでしたが。
内覧に行くと、かなりこだわったリノベーションをされたことは室内を見れば明らかでした。
話を聞いてみると、住み始めてから3年目での売却です。理由は住みかえとのことでしたが、これだけこだわったマンションを手放すので本当のところはもっと違った理由があったのかもしれません。
リノベーションにも結構なお金をつぎ込んだそうです。それでも売り出された金額は、その中古マンションの相場価格に少しリフォーム代として気持ちいくらか足されたくらい。恐らくリノベーションにかけた金額の4分の1くらいしか価格には反映されていなかったのではないでしょうか?
今回の話は、人によっては耳の痛い話かもしれないですが、リノベーションを大金をかけてしても、それが資産になるわけではありません。
最近よくニュースやテレビ、雑誌などでも多く見かけるようになった目を惹くようなオシャレにリノベーションされたお部屋。
たしかに見栄えもいいですし、「自分らしさ」という昨今のトレンドも相まってか、人気を博しています。しかし、住宅は将来の選択肢やライフプランを考えるのであれば、「資産」であるべきです。
資産としての住宅は、価値の下がらないものであり、それは住居費を「貯蓄」に回しているということになります。住居費を「消費」としてしまっている人との差は将来大きく開きます。
この間雑誌を見ていた時に500万円の団地に、1500万円かけてリノベーションした内容の記事がありました。団地自体が悪いとは言いませんが、多くの団地は昔のベットタウンであることも多く、これから空き室や高齢化が進んでいきます。
たとえ1500万円をかけてリノベーションをしても、売りに出して500万円でしか売れないのでは、その1500万円は消費です。
たしかに、雑誌などに出てくる写真などを見ているとものすごく良く見えます。リノベーション自体を否定するものではないですし、私もどちらかといえば好きです。
理性よりも感情に訴えた方が人は心を動かされやすい生き物です。実際に資産価値が落ちるか落ちないかという理性的な考え方よりも、そんなリノベーションされたお部屋の方が感情的に訴えてきます。
もちろん感情を無視しろというわけではありません。ただ感情も大切なのですが、理性的な考え方を飛ばしてしまわないように気を付けたいものですね。
あなたは、資産価値を考えた住宅探しが出来ていますか?
宮田明典
P.S
結局冒頭のリノベーションされたマンションは値段設定は適正であったものの、個性的な内装であったせいか少し時間はかかっていましたが、半年ほどして売れていきました。
ちなみに今の市場でもそのような物件が出ています。中には明らかに市場価格と乖離しているものもあります。自分にとっての100点よりも、誰にとっても70点とか80点くらいなのが一番資産価値的にはいいのかもしれないですね。