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中古住宅とリノベーションのワンストップサービスは本当にいいの?

2020年4月9日

リノベーション ワンストップサービス

宮田明典(ハウスクローバー株式会社)

宅地建物取引士、ファイナンシャルプランナー。
ハウスクローバー株式会社の創業者兼CEO。
また同時に業界歴15年以上の現役不動産エージェント。
相談は全国から毎年300組以上、実際の売買もサポートするエキスパート。
多くの人から受ける相談内容と不動産業界の現状にギャップを感じ、住宅購入に必要なサービスと優良な不動産エージェントのネットワークを構築したプラットフォーム「HOUSECLOUVER」を企画運営。 自身が情報を発信しているYoutubeやブログは多くの住宅購入者にとって欠かせないバイブルとなっている。

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自宅の書斎より、

リノベーションが流行の兆しを見せてから、ようやく10年が経とうという状況です。

実は日本におけるリノベーションの歴史ってまだまだ全然で、発展途上の段階なのかもしれません。

リノベーションの流行とともに、出てきたサービスでワンストップサービスというものがあります。

今日はそのワンストップサービスのメリット・デメリットや気を付けるべきポイントについて解説します。

この記事は動画でもご覧になれます。
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リノベーションのワンストップサービスとは?

中古マンションや中古戸建てを購入して、一緒にリノベーションを行う方が増えてきています。

ここでいうリノベーションとは修繕を目的としたリフォームではなく、性能向上やデザイン性を追求した大規模な工事のことを言います。

費用が高くなるので、現金で補えることはなかなかハードルも高く、住宅ローンに組み込みたいと考える方増えています。

豆知識

今では当たり前のように住宅ローンにリノベーション費用を組み込めますが、かつてはリフォームは別のローンでした。このことが昨今のリノベーションブームを後押ししました。

リノベーション費用を住宅ローンに組み込むときは、通常の段取りに工数がいくつか増えます。

リフォームのようなある程度相場があるような工事であればともかく、リノベーションはデザイナーが入ることが多く、オリジナルの製品や手間のかかる工事が多いため、見積もりなどにも時間がかかります。

さらにやりたい工事内容が実現できる物件なのかどうかも、見極めが必要になります。

そうなると物件を探す不動産会社だけでなく、リノベーション業者とのやり取りも必要になってきます。

色々窓口があって手間なので、その窓口を一つにして、一つの会社で物件探しからリノベーションを行うサービスのことをワンストップサービスと言います。

ワンストップサービスのメリット

ワンストップサービスのメリットは、何と言ってもその楽さ。段取りもワンストップサービス業者がやるので間違えたりするリスクが減ります。

また物件探しからリノベーション業者が付いてきてもらうことによって、出来ることと出来ないことが明確になります。

そんな使い勝手の良さがワンストップサービスのメリットだと思います。

ワンストップサービスのデメリット

良いことには、悪い側面もあるのが世の常。ワンストップサービスにはどんなデメリットがあるのでしょうか?

ワンストップサービスのデメリットは何と言っても資産価値です。

どういうことか?

このことを知るには業者の売上や利益について知る必要があります。

ワンストップサービス業者の収益構造

リノベーション ワンストップサービス

ワンストップサービスは、収益を得るポイントは2回あります。

物件を仲介する時の仲介手数料と、リノベーション工事の請負代金です。

ちなみにあなたは、どちらの収益が大きいと思いますか?

実は、リノベーション工事の請負代金が圧倒的に売り上げも利益も大きいです。

例を参考に説明します。

モデルケース①

購入中古マンション価格:3,000万円 リノベーション工事費用:1,000万円 ※消費税は考慮せず

このケースでの売り上げや費用は、

売上 利益
物件の仲介(仲介手数料) 96万円 96万円
リノベーション工事 1,000万円 約300~400万円
合計 1,096万円 約400~500万円

リノベーション工事の利益は業者によって違いますが、おおよそこんな数字です。

これを見て分かると思いますが、ワンストップサービス業者の主な収益源はリノベーション費用です。

例えば、先ほどの①のモデルケースで、総額の予算は4000万円でしたが、これをすこし変動させてみましょう。

モデルケース②

購入中古マンション価格:2,000万円 リノベーション工事費用:2,000万円 ※消費税は考慮せず

売上 利益
物件の仲介(仲介手数料) 66万円 66万円
リノベーション工事 2,000万円 約600~800万円
合計 2,066万円 約766万円~866万円

この数字をみてどのように感じますか?

ワンストップサービスが資産価値の面で損をしやすい理由

ワンストップサービスのデメリットとして挙げた資産価値で損をしやすいのは、このワンストップサービス業者の収益構造が非常に大きく関係しています。

はっきり言って仲介手数料よりもリノベーション工事の方が儲かるのです。

ワンストップサービス業者だったら、上手いこといって、総額の予算から、物件の価格を落としてもらってリノベーション費用をとることを考えると思いませんか?

しかし、将来の資産価値でいえば、利益分を除くと、不動産の価値の方が大きく、リノベーション工事にかけた費用はほとんど資産価値に反映されません。

つまり総額予算の中で優先すべきは、物件の資産価値なのです。

資産価値がある物件は立地条件なども良く、すでに価格は高い傾向があります。逆に安い物件は立地条件がそこまで良くなく、価格も安いことが多くあります。

ワンストップサービスではこの前提を業者の利益都合でひっくり返されてしまいます。

同業者として言いますが、ワンストップサービスははっきり言って業者が設けやすい構造になっています。仲介手数料を無料にしても、全然おつりがきます。中にはリノベーションの費用にちゃっかり載せているところすらあります

実際、ワンストップサービス業者の中には、工事費用が500万円以上ないと相手にしないところもあります。どことは言いませんが。

あなたの資産を守るためには?

こういう仕組みが分かることで、あなたがどんなことに気を付けて行動すればいいかが分かるようになります。

ワンストップサービスは確かに便利なサービスなのですが、どうしてもこの収益構造を見る限り、ただでさえ情報弱者である消費者のデメリットの方が大きくなると思います。

将来的な損失を避けるためには、ワンストップサービスを利用するのではなく、やはり不動産業者とリノベーションは別々で依頼するべきだと思います。

資産価値をしっかり見ておいてくれる不動産業者であれば、リノベーション業者にけん制も効きます。

やり取りの窓口は二つになりますが、それでも住宅購入から住宅ローンの審査など、不動産業者とリノベーション業者が連携して進めていくことは、慣れた業者であれば、全く問題ありません。

実際弊社でも紹介することはあっても、あくまで別業者ですので、連携しながら進めていくこともあります。

あなたも、中古マンションや中古戸建てを購入してリノベーションを考えているのであれば、手間は増えるかもしれませんが、将来の損失を出さないためにも別々で業者を探すようにしましょう。

宮田明典

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多くの人から受ける相談内容と不動産業界の現状にギャップを感じ、住宅購入に必要なサービスと優良な不動産エージェントのネットワークを構築したプラットフォーム「HOUSECLOUVER」を企画運営。 自身が情報を発信しているYoutubeやブログは多くの住宅購入者にとって欠かせないバイブルとなっている。

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