オフィスのデスクより、
今が買い時と考えているファイナンシャルプランナーの約9割近く(※)の方が、主な要因として住宅ローンの低金利をあげているそうです。
(※出典:2019年度【住宅市場動向調査結果】https://www.jhf.go.jp/files/400349711.pdf)
2017年の夏ごろに長期金利は底をつき、徐々に上昇基調ではありましたが、ここ最近の米中ぼ貿易摩擦による不透明感から、少し下げる動きも出てきています。
なかなか金利の動向を読むのは、色んな要因が絡むため非常に困難ではありますが、この低金利を味方にすることは出来ます。それは、「あえて自己資金を出さない」という戦略をとることが出来ることです。
いつの時代も現金は強い
よくWebサイト上などで、「自己資金は2割くらいあったほうがいい」や「住宅ローンの返済比率は〇割まで」といったキャッチーなフレーズを多く見かけると思います。
もちろんそれはそれでいいのですが、個人的な感覚からすると、これだけ金利が安いのであれば、金利分はコストと割り切って、手元に現金を残しておくことも「リスク管理」の観点からいうと、アリなのではないかなと考えています。
例えば会社ではいくら毎年の決算が赤字であっても、現金があれば倒産することはありません。上場企業などで、何千億という赤字を出しながらも会社が傾かないのは、つまるところ「現金」があるからです。逆にどんなに黒字であっても、現金がなければ倒産です。
私が会社経営者であることも、多少は影響しているのだとは思うのですが、家計においても金額の大きい小さいはあれど、本質的なことは変わらないと思います。
何があるか分からないことを考慮する
私が顧客のライフプランニングをする上で、特に気にするのが、現金保有についてです。家計のシミュレーションをしていくと、やはり収支には波があって、人生で一番お金が無くなる時期というのがどなたでも存在します。
この一番家計にお金が無くなる時の現金保有が実は家計の安全性にとっては非常に大切なのです。そして個人的には今の年収の一年分、最低でも半年分が残っているようにシミュレーションをします。
これだけ先行きが不透明な世の中で、会社のリストラに合うとか、親の介護で職場をしばらく離れなければいけないとか、色んなことが発生する可能性があるわけです。
何があるか分からないからこそ、現金があった方が、何かあっても対応ができるのです。そこであまりにもカツカツの状態だと、それこそ住宅ローンが払えなくなることもあり得ます。
先日も経団連のトップやトヨタなどが、終身雇用の維持は今後難しいという見解を示したことが話題になりましたが、このように何があるか分からないからこそ現金を手元に置いておくという発想もあってはいいのではないでしょうか。
長期で借りる場合は、長期間固定金利で
ただ、このライフプランニングをする上で、計画の実現性を担保するために重要なのが、「どんな借り方をするか」です。
どんな借り方というのは「金利」のことで、いくら余裕を残しておいたシミュレーションをしても、それが変動金利であって、なおかつ将来金利が上昇してしまったら、余裕を見ておいたものが意味がなくなってしまうこともあります。
特に変動金利の場合は、長期間固定金利よりもリスクが高い分、余裕のあるライフプランニングがなければ、不測の事態のときに破綻しやすくなります。
変動金利でもいい人、長期間固定金利の方がいい人は、その人の状況や借入条件などによっても変わってきますので、お金の面で失敗しないためにも、住宅購入前のライフプランニングは欠かさないようにしてください。
宮田明典
P.S
ちなみにバブルのころは、変動金利で8%なんていう時代もあったようです。このころであれば、むしろ現金はたくさん出して、借り入れを少なくする方が正解でしたが、今は歴史的にも超低金利時代です。ぜひ、時代にあった戦略を選んでいきたいですね。
▽ライフプランニングも受けられます。