自宅の書斎より、
家を購入したほうが得なのか、賃貸の方が得なのか。
この議論はずっと昔からされてきており、ここまで同じ議論が世代を超えてされているのも珍しいです。
しかし、明確な基準を持てばどっちが得か判断できるようになります。ここでは、その考え方について説明していきます。
支払いの総額はどちらも変わらない
まず結論を先に申し上げます。支払いの総額で言えば前提条件などによって変わりますが、トータルで払う費用は持ち家も賃貸も実はそこまで変わらないといわれています。
経済は非常に合理的になっていて、単純に賃料と住宅ローンの支払いを比べれば、持ち家の方がお得な気がしますが、持ち家には所有にかかるコストもあります。
固定資産税や、修繕費用もかかります。マンションであれば管理費も無視できません。
持ち家と賃貸の違いは?
それでは、持ち家と賃貸の違いは一体どこにあるのでしょうか?
支払いのペースが違う
まずそれぞれの違いは、支払いのペースが違います。
持ち家の場合、自己資金も必要になりますし、住宅ローンと所有のコストを考えると、賃貸よりも早い時期での支払いが大きくなります。
賃貸の場合、ペースはずっと一定で、持ち家よりも当初の負担額は軽くて済みますが、生きている限り費用が発生するので、老後の費用負担が重くなります。
持ち家も賃貸も支払う総額は変わらなくても、支払うペースが違います。
賃貸の場合は、当初の支払い負担が軽い分、後からしわ寄せがきやすいので、計画的な貯蓄が必要になります。
セーフティネットがあるかないか
持ち家の場合、ほとんどの人が住宅ローンを利用することになると思いますが、住宅ローンには団体信用生命保険があります。
団体信用生命保険とは、銀行が債権者である住宅購入者に対して保険をかけておくもので、借りた人にもし万が一のことがあれば保険から残差額が精算されます。
亡くなった場合だけでなく、最近ではがんと宣告された時点で保険が適用される商品もあり、大きな安心感があります。
実際当社に住宅購入の相談にいらっしゃる方の中には、このことに魅力を感じて住宅購入をしようと考える方もいます。
代わりに生命保険にはいればいいではないかと考える方もいますが、債務者を団体として保険料を計算するので、同等の生命保険料と比べてもはるかに安い保険料で加入することができます。
他にも減免制度と呼ばれる、被災した時の救済制度もあり、持ち家は賃貸よりもセーフティネットにおいて違いがあるといえます。
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https://houseclouver.jp/blog/2017/03/15/jishin-loan/
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支払いが資産に反映される
そして一番大きな違いが、住宅支出が単なる支出になるのか、資産になるのかということです。
賃貸であればいくら支払っても戻ってくるお金はありません。すべて大家さんの懐を温めるだけで、あなたの資産は0です。
逆に持ち家は、住宅支出である住宅ローンの元本部分は資産に反映されます。
同じように住宅支出があったとしても、将来的に資産を処分すれば、いくらかでもお金は戻ってきます。
それが家を売る人達のウリ文句でもあったわけなのですが、これからの時代、注意点があります。
持ち家が有利かどうかは、どんな家を買うかによる
これからの時代は、人口減少と家余りの問題が深刻になります。
ある調査機関のリサーチによれば2033年には3戸に1戸が空き家になると予測さえされているのです。
そんな中、不動産は3つに分かれていくといわれています。
- 値上り、もしくは現状維持
- ダラダラ値段を下げる
- 無価値。売りたくても売れない「負」動産
この中で理想は①で、②は下がる価格次第ではありませが、③の不動産を購入してしまったら悲惨な未来が待っています。
売りたいのに売れない。所有しているとコストばかりかかる。こんなものは資産とはいえません。
ここで私なりの結論なのですが、「将来資産価値のある家を買うのであれば持ち家の方がいいが、無価値な不動産を買うくらいなら賃貸の方がよっぽどいい」です。
本当にこれにつきます。
あなたもこれから住宅の購入を検討していたり、迷っているのであれば、ぜひこのことは覚えておいてくださいね。
宮田明典