オフィスのデスクより、
令和元年早々に、不動産業界にまたよからぬニュースが流れました。
第一報はGW中のことでした。
「借金帳消し」甘い文句で若者勧誘 元社員が明かす不正
https://www.asahi.com/articles/ASM4S35C8M4SUUPI005.html
永く不動産業界に身を置いている身としては、昨年から続く「かぼちゃの馬車」「スルガ銀行の不正融資」「レオパレスの耐震偽装」など、以前から割と知られていることでした。
ただ知られているというのは程度の問題で、今回も一部業者が、やり過ぎたというのが発覚の発端ではないかと思われます。
もともとフラット35というのは、金融機関ではありながら、財務省と国土交通省が所轄という異例の形態となっていて、半ば国策企業のような性格がありました。
普通の金融機関が貸さないような、非正規雇用者などでも家が買いやすいようにと作られた特別な住宅ローンです。
実際、私のお客様でもフラット35でなかったらおそらく買えていなかっただろうと思われる方が何人かいます。
もちろんその方たちの返済能力に問題があるものではなく、働き方やタイミングだったりします。
そもそも国をあげて働き方改革を推進している中で、フリーランスのような働き方が増えてきているのも事実で、こういった人たちの住宅取得にとって非常に強い味方でした。
その借りやすさ以外にも、実はもう一つ大きな特徴がありました。
それは転勤など、合理的な理由があって住まなくなった場合、賃貸に貸し出すことが認められているのです。
一般的な銀行はこの辺りには結構うるさいです。
実はフラット35のHPにも「賃貸収入により返済を継続することも可能」と普通に書いてありました。(このニュースを聞いた後に確認したところ、この記載はありませんでした)
合理的な理由というのは、
- 転勤・転職
- 長期出張
- 医療・介護
- 教育
- 返済継続のための賃貸利用(支払いが厳しくなって、賃料から返済する)
- その他
ただ基本的に「賃貸用」は明確に禁止されています。
しかしあきらからな「賃貸用」目的で購入することが発覚することも非常にまれで、ほとんど聞いたことがありません。
ちなみに30年近く旧住宅支援機構のときからバンカーをしてきた人に聞いても、同じように「聞いたことがない」とのことでした。
フラット35も運営だけで、窓口は銀行やノンバンクが行っているので、実際に物件を見に行くことはまずありません。
そんなこともあってか、住む用で買っておいて、途中から貸しに出している人もいるだろうなと業界内では暗黙の了解みたいなところがありました。(もちろん、僕のお客さんにはいませんよ)
ただ今回のニュースで明るみに出たやり方はかなり酷いものでした。
ニュースを要約すると、不動産業者が若く貯蓄がない、借金がある若者に、フラット35を利用させて投資用としてマンションを購入させて、さらに借り上げてその業者が賃貸として貸し出す。
さらに、物件を買うときにオーバーローン(例えば2500万円のマンションに3,000万円の融資をつけて、500万円をキャッシュバックする)をしていました。
このオーバーローンは、売主がグルでないとほとんど不可能で(偽の領収書や振込票などが必要になるため)、あきらかに悪徳業者が知識のない若者を甘い言葉で食いものにしたという、ここ最近のパターンです。
フラット35も、調査するとは言っていますが、果たしてどこまで明るみにでるのかなという目で見ています。
少なくとも、発覚のきっかけとなった借り手や不動産業者はアウトだと思いますが。
こういうニュースを聞いていて、本当に不動産業者って酷いと思いますよね。
もちろん一部ではありますが、こんなことがあると業界全体に悪いイメージが波及してしまうのが残念です。
ここまでとは言わないまでも、不動産業者はいい人もいれば悪い人もいて、両極端な業界だと思います。
あなたも、不動産を売買するときは、ちゃんとした不動産業者を見つけてくださいね。
怪しいとか不安に感じたらお気軽にご相談くださいね。
宮田明典