オフィスのデスクより、
あなたはインスペクションという言葉をご存知でしょうか?
インスペクションとは、住宅検査のことで外観を見ただけでは分かりにくいところを第三者のプロがチェックするというものです。
2018年の4月からは、宅建業法で法制度化され、売買時の確認が必須になります。
この法制度化のメリットと問題点を探ってみたいと思います。
インスペクションのメリット
中古住宅の売買時のネックとなっていた「見えない部分への不安」への解決策としてインスペクションが注目されるようになりました。
素人目でみても、どんなところに欠陥があるかはなかなか分かりません。
インスペクションでは、中古住宅を第三者である建築士の資格などを持ったプロにチェックしてもらい、問題点を見える化することで、安心して取引が出来るようになります。
これは物件を購入する側だけにメリットがあるだけでなく、物件を売る側にとっても事前に問題点をオープンにしておくことで、後々のトラブルの心配を減らすメリットがあります。
このように売買の双方にとってメリットのあるインスペクションが法制度化されれば、中古住宅の流通量にも弾みがつくと期待されています。
問題はインスペクション業者との癒着
中古住宅取引の多い欧米などでは、インスペクションは古くから普及していました。
しかし欧米では、インスペクション業者と不動産仲介業者との癒着が社会問題になりました。
インスペクション業者と不動産仲介業者は仕事を発注される立場と発注する立場になります。
物件の売買が行われやすいように、仕事を発注する不動産仲介業者にとって有利な結果を出してしまうことが多発してしまったのです。
その結果、オーストラリアでは売主側がインスペクション業者を手配することが法律で禁止されていますし、アメリカでも不動産仲介業者がインスペクション業者を紹介することを禁止している州もあります。
このように、中立性を保つべき存在のインスペクション業者が癒着によって恣意的な結果を出してしまい、結果健全な中古流通市場が損なわれるという事態が発生してしまったのです。
中立性を担保するために
インスペクションにおいて重要なことは中立性が保たれていることです。
今のところ市場を見ている限り、売主がインスペクションを予めしている場合は、純粋に情報をオープンにしているように見受けられます。
また不動産仲介業者がインスペクション業者を紹介するときも、癒着などなく純粋にお客さまのためを思って紹介をしているように感じます。
もちろん当社でも癒着などは一切なく、専門性があってキチンと業務を行ってくれる業者を紹介するようにしています。
しかしこれが法制度化することで、先に述べたような問題が出てくるようになるのではないかと心配しています。
制度化されるとは、いいところも悪いところも出てくるものです。
こういった背景を考慮して一番いいと思える方法は、買主自らがインスペクション業者を選び検査してもらうことです。
買う側にとっては手間が増えることになるかもしれませんが、何千万もする買い物ですから、失敗をしないためにもひと手間かけることが大切になってくるのではないかと思います。
宮田明典