自宅の書斎より、
私は住宅営業であると同時に、ファイナンシャルプランナーでもあります。ファイナンシャルプランナーとは幅広い知識で、ライフプランの設計を行うプロのことです。
住宅を買ってもらってそれで終わり、というわけでなく、その人のライフプランと照らし合わせてどんな住宅が適正かを一緒に考え、そのライフプランの実行を援助していきます。
そんな立場からよく相談されるのが、住宅ローンの金利は固定がいいのか変動がいいのか。実は人によって正解が変わります。
しかし、住宅ローンや金利の基礎知識をほとんど持たずに選択している方があまりにも多すぎるような気がします。
当社のお客さまのほとんどが「全期間固定」を選択しているのに対して、実際に変動金利を選んでいるのは全体の約5割というデータがあります。
そして○年固定という固定期間選択型と呼ばれるタイプが4割弱。全期間固定は1割強という状況です。
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不動産会社や銀行は変動金利や固定期間選択型を勧めてくる
まず一番はじめに知っておいて欲しいのは、不動産会社や銀行は変動金利や3年や10年の固定期間選択型を勧めてきます。
これにはちゃんとした理由があります。
その理由とは、不動産会社としては「売りやすいから」。
そして銀行としては「経営にとってリスクが少ないから」です。
それぞれが業者の都合で、あなたのことを思って提案してくれているわけではありません。
不動産会社とすれば、見た目の支払額が高くなる固定金利よりも変動金利の方が安く見えるので、「月々○万円からで購入できますよ」「今の賃料とあまり変わらないですよ」というトークで売ってきます。
そして銀行からすれば、変動金利だと金利が上がればその分金利を上げればいいので、損しません。
逆に長期間固定だと、金利が上がれば逆ザヤになってしまうので損する可能性が高いです。
銀行もこれからは金利が上がると読んでいるのです。こちらから「長期間固定で」と言わないと、商品があっても話すら出してきません。
あなたの身を守るためにも正しい知識が必要なのです。
「金利が上がったら固定期間に変える」は危険
私の勝手な憶測なのですが、一般的な住宅営業や不動産仲介業者は、予算の大きくなる変動金利をお勧めしておいて、「金利が上がったら固定期間に変えたらいかがですか?」という話をしているかもしれません。
実際にそういうことを言われたという方もいらっしゃいました。
しかし、私は金利が上がったら固定期間に変えるというのは危険だという認識です。
その理由が大きく2つあって、1つは「そもそもそんなに金利動向を見ない」です。
購入する時は色々と調べますが、購入してしまえばまず金利動向とかあまり気にしなくなります。
銀行も「金利が上がるので固定金利に変えませんか?」とはまず言ってきません。
「金利は交渉できる」という甘い罠
不動産仲介業者や銀行マンの中には、固定期間が終わった後に、金利優遇が低くなる(つまり金利が高くなる)タイミングで、交渉をすれば大丈夫という案内をする方もいます。
※固定期間選択は最初は優遇金利が適用されていて安いですが、終了後に高くなることが一般的です。
確かに金利を交渉する余地はあります。他に借り換えられても銀行としては困りますので。
しかし、その時の状況が決して良くなければ、足元を見られることもあります。
10年後も今と変わらないと考えるのは少し早計な気がしなくもありません。
固定金利と変動金利の仕組みの違い
もう一つの理由は、金利の上がるタイミングの違いです。
それを説明するためにそれぞれの違いから説明していきます。
まず固定金利は長期金利に連動しており、変動金利は短期金利に連動しています。
それぞれ違う金利に連動しており、それぞれの金利の決まり方に大きな違いがあります。
固定金利は政策金利といって日銀がコントロールしています。
そして長期金利は主に国債の10年ものの金利で、市場によって決まります。
過去にアメリカで短期金利が上げられたとき、長期金利は物価上昇を懸念し、短期金利よりも先に金利が上昇しました。
これをあてはめると、変動金利が上がったから固定金利に変更しようとしても、すでに長期金利は上昇しており、結果としてあまり意味がなくなってしまいます。
全期間固定でゆとりがないならそもそも計画自体に無理がある
ファイナンシャルプランニングをする中で、変動金利でしか成り立たない計画は、まずそもそも無理があるということです。
ちなみに変動金利で計算するときは、金利を4~5%で計算します。
その他にも変動金利にはさまざまなリスクが存在し、変動金利と固定金利の差額についてはむしろ経費と考えて、リスクを排除するという考え方を伝えるようにしています。
あなたも見かけの金利の安さに惑わされることなく、トータルで判断できるといいですね。
宮田明典