オフィスのデスクより、
よく新築マンションやハウスメーカーのチラシを見ていると、「月々○万円~」といった表記が目に留まります。そういう謳い文句を見ていると、「今支払っている家賃とそれほど変わらないじゃないか」ということで、住宅購入に至る方が多いようです。
しかし、家を購入するのであれば、あまり見た目に惑わされず、本質をしっかり理解しておきたいところではあります。ここでは、住宅ローンを組むときに気を付けておきたいポイントを5つ、ご紹介します。
1.購入後のコストが加味されていない
例えば新築マンションの場合、「月々○万円~」という数字には、管理費や修繕積立金が加味されていないことがほとんどです。しかも新築の時は修繕積立金も安く設定しているため、長い目で見た時にコストは必ず購入時よりも上がります。
他にも固定資産税も新築時から3~5年の優遇期間がありますが、その期間も終われば一気に2倍近くの税額になります。チラシに書いてある数字が賃料と一緒だから買っても大丈夫と思っても、実際は購入後のコストが考慮されておらず、生活が苦しくなるというケースもあるので注意が必要です。
ただし、資産性のある住宅を購入する場合は、売却時の現金化により、住宅ローンの元金部分は貯蓄されていたということと同じ効果があると考えられます。
2.ボーナス払いが加味されている
僕はFPをしていて、どうなるか分からないご時世なので、余程の大手企業や公務員の方以外はボーナス払いはお勧めしていません。毎月の給与は会社に何かあっても保証はされますが、ボーナスは業績によってカットされることもあり得るからです。
しかし、チラシに書いている数字の下に、よく見ると小さな字で「ボーナス払い年2回○○万円」などと書いてあったりすることがあります。賃貸にボーナス払いは無いので、賃料と比べて高いか安いかを見るのであれば、ボーナス払いを月換算にしてどうなるかを見る必要があります。
3.変動金利になっていないか
特に気を付けたいのが、金利の前提条件です。見た目の支払い額を安くしたいのであれば、一番安い金利条件で計算すれば、月々の支払いは安く映ります。この場合、大体は変動金利や3年固定などになっていることが多く、将来的に支払額が変動する可能性があることを考慮しなければいけません。
この先金利が下がると予想されるのであれば、変動金利は合理的な選択になりますが、これから金利が上がると予想されるのであれば固定金利が合理的な選択になります。見た目の安さに楽観的になり過ぎず、様々なシミュレーションをしておくことがポイントになります。
4.余裕資金を残さず自己資金にしてしまう
良く見受けられるのが、見た目の数字が安くなるので、手元に資金をあまり残さず自己資金を多くいれてしまうケース。
自己資金を多く入れること自体決して悪いことではありません。しかし、手元に余裕資金が無い状態で、予期せぬ出来事(家族の病気や、意図せぬ転職など)が発生してしまうと、一気に生活が苦しくなります。
またライフプランニングをして長期間のシミュレーションをした時に、実は自己資金を多く出すよりも、あえて手元に残しておいた方が生活の破たんリスクが激減することもあります。
いくら支払いが少ないからといって、資金がショートしてしまえば、それは破たんを意味します。そのことを忘れないようにしましょう。
5.銀行や不動産業者の言いなりにならない
例えば、住宅購入を決断してもらいやすくするために、変動金利やボーナス払いをサラッと組み込んで、見た目の安さでクロージングしてくる業者も多くいます。
はっきり言って、ほとんど知識を持たずに、これだけ大きな買い物をすること自体、不動産業者からしてみたら「鴨が葱(ねぎ)を背負っている」状態と変わりません。彼らは、物件の取引については責任を持ちますが、住宅を購入した後のあなたの生活には責任は持ちません。
銀行や不動産業者の言いなりになるのではなく、事前に準備をしておくことで、甘い言葉や数字に惑わされることなく、より良い物件探しが出来るのではないかと考えております。
あなたもまず物件を探す前に、資金計画についてはきちんと考えるようにしたいですね。
宮田明典
住宅探しでは、物件探しだけでなく、マネーIQを高めることが大変重要です。
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