オフィスのデスクより、
不動産を購入する時、最終的に不動産登記簿謄本に名前が入ります。その時に誰がその不動産に対してどれだけの割合を所有しているか、という数字を「持分」と言います。
例えば不動産登記簿謄本の所有者欄に、「山田太郎 1/2 山田花子 1/2」と名前とその人が持つ割合が記されます。
ご主人ひとりの名前で購入する時は、あまり問題になりませんが、ペアローンを組んだりする時などには持分の割合に注意が必要になってきます。
持分は慎重に検討する必要あり!?
ご主人単独での住宅を進めていたお客様で、ある時、奥様から直接携帯に連絡がありました。
要件は「主人の名前で買うのだけれど、何かあった時のために私の持分も入れておきたいんだけど、、もちろん主人には内緒で!」
という相談を受けました。何かというのはおそらく離婚のことを言っているのでしょうか。あまり深くは突っ込めなかったですが。
ただ回答としては、「どちらかといえば、やめておいた方がいいですよ。」とお伝えしました。
なぜなら、「贈与税」という名の税金がかかってしまう恐れがあるからです。
持分の決め方
「持分」は誰がどれだけお金を用意したかによって決めることが大原則です。つまりお金を出した割合によって「持分」を決めることです。
お金を出した割合によらないものは、その人への贈与として税金の対象になる可能性があります。
先ほどの方の例だと、基本的にご主人の単名で住宅ローンを借りるので、基本的にはご主人がすべて持分を持つのが通常です。
そして、奥さんの持分を例えば10%にすると、その不動産購入にかかった費用の10%が夫婦であったとしても贈与税の対象になってしまうのです。
ちなみに「もしもの時」のために持分を入れておくことのメリットは、自分に黙って勝手に物件を売るとか、物件を担保にお金を借りることが出来なくなることくらいです。
そこまで信用できなければ話は別ですが。。。。
ケーススタディ
それでは実際に数字を用いて計算をしてみましょう。単純に「物件代金+諸費用」を誰がどれだけ出すかで決まります。
※消費用には火災保険や引越し費用などは含まれません。
物件価格:2780万円 + 諸費用:220万円 =約3,000万円
この条件の物件を以下のような条件で購入した場合。
・夫 住宅ローン1500万円 現金300万円(①)
・妻 住宅ローン1000万円 現金200万円(②)
それぞれの持ちだし割合は、
・夫 ①÷3000万円=60%
・妻 ②÷3000万円=40%
それぞれの持ち分は、
・夫 5分の3 妻 5分の2
・夫 100分の60 妻 100分の40
※持分の書き方は、どちらでも構いません。数万円~数十万円くらいの誤差については、110万円の基礎控除があるので余程問題にはならないと思います。
住宅ローンが単名でも、注意を要する時
住宅ローンが例えばご主人の単名で借りるときでも注意が必要な時があります。
それは住宅ローンがご主人名義で、諸費用や自己資金は奥様の財布から、なんてケースです。
奥様の財布というのは、生活費が振り込まれているという類のものではなく、たとえば結婚前から貯めていた貯金などです。
住宅ローンが単名であったとしても、不動産全体にかかる費用の一部でも出すのであれば、厳密にいえば登記の持ち分を入れることが必要です。
よくうっかり忘れてしまいそうなので気を付けてください。
登記の持ち分が入るのであれば、住宅ローンの手続きも必要に
そして登記の持ち分だけを入れる場合、住宅ローンの借入に関わらなくても、持ち分を入れる場合、銀行で手続きをする必要があります。
手続きというのは、住宅ローンの申し込み手続きではなく、担保提供者の同意書というものです。
住宅ローンを借りるときに、銀行は抵当権設定登記をします。
これは住宅ローンが返せなくなった場合に家を差し押さえることが出来る法的な権利なのですが、登記人全員の同意が必要になるからです。
このケースだと、ご主人しか住宅ローンの借入れをしなくても、奥様も一緒に銀行にいって手続きをすることが必要になります。
なかなか細かくて手間かもしれませんが、これからはマイナンバーと口座が紐づくなんて言われる時代です。
あとから税務署に指摘を受けて、後から高い贈与税を払う羽目にならないように気を付けましょう。
詳細は税理士や司法書士に確認すると良いですが、間違っても夫婦だから仲良く半分ずつ、といって間違った登記をしないように注意しましょう。
宮田明典
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宅地建物取引士、ファイナンシャルプランナー。
ハウスクローバー株式会社の創業者兼CEO。
また同時に業界歴15年以上の現役不動産エージェント。
相談は全国から毎年300組以上、実際の売買もサポートするエキスパート。
多くの人から受ける相談内容と不動産業界の現状にギャップを感じ、住宅購入に必要なサービスと優良な不動産エージェントのネットワークを構築したプラットフォーム「HOUSECLOUVER」を企画運営。
自身が情報を発信しているYoutubeやブログは多くの住宅購入者にとって欠かせないバイブルとなっている。
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